事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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最近気になること

インターネット依存症の職員と保護者世代

インターネット依存症の職員と保護者世代

インターネットの普及後に若者を中心に人気がでてきたSNS(ソーシャルネットワークキングサービス)

・ アメーバブログ

・ フェイスブック

・ グーグル+

・ グリー

・ インスタグラム

・ ライン

・ リンクトイン

・ ミクシー

・ ミーバース

・ モバゲー

・ マイスペース

・ ツイッター

主なものを挙げただけでも10以上の数のSNSサイトが存在しています。

保育施設で働く職員の方々と保護者の方々は、上記どれかのSNSを利用している人はいますか?と聞くと8割の人が「はい」と回答する時代なのではないしょうか。2013年に厚生労働省研究班の調査で 携帯電話やパソコンに没頭する「インターネット依存」の中高校生は全国で推計51万8千人に上ると言われています。ガラケーにしろスマホにしろ四六時中見ていないと気がすまないのは中高生だけには限らないと思います。

最近、このようなニュースを目にしました。

岐阜県池田町の女性職員が停職処分中に旅行の写真を会員制交流サイト(SNS)に複数回投稿したとして、町住民課の女性主事(30)を懲戒免職処分にしたと発表した。管理監督責任として、町長は減給十分の二(一カ月)、副町長ら上司三人を文書による訓告処分とした。女性主事は2014年、勤務時間外に名古屋市内の接客業でアルバイトをしていたため昨年11月2日から半年間、町側から停職処分を受けていた。町によると、女性主事は停職期間中に、停職前に観光で訪れた東京などでの写真をSNSに投稿。町民からの指摘で把握した町側は「停職中は投稿しないように」と注意したが、今年3月に再び奈良での写真を投稿したため、地方公務員法(信用失墜行為の禁止)の違反に当たるとして、処分した。

 上記女性は、停職処分中で、一度注意を受けているにもかかわらず(自分の進退が危ぶまれているのにもかかわらず)SNSへの投稿をやめることができずに、結局最悪のかたちで職を失うことになってしまいました。一昔前には考えられない懲戒免職処分理由だったと思います。SNSの中での自分は輝いている、自分を見て欲しい、自慢したい、羨ましく思ってほしいなどという気持ちを抑えられずにSNSの中では自慢大会ばかりが起こっています。自分の投稿に「いいね」をたくさんつけられると喜ぶ、少ないと「いいね」をたくさんつけてもらえるような記事を作り上げるのに必死になってしまうなど。どっぷりインターネットに依存してしまっている方々は少なくはありません。

 投稿して、満足してそのあとのことは考えないからこそ、SNSを通してのトラブルは後を経ちません。それは保育業界でも起こっています。「今日は天気が良かったのでかわいい園児たちとお散歩に行ってきました!と投稿し、園児たちの写真をSNSサイトにアップしてしまう保育士」や自分のプロフィールを上げ、職業は〇〇保育園の職員だと公表していて「恋人といちゃついている写真をSNSサイトにアップして、保護者に発見されて保育士としていかがなものか?」と指摘を受けるなどということもあります。

 一方「運動会やお遊戯会のときの様子を写真に撮り、自分の子ども以外の子どもの顔が写っている写真や動画をSNSにアップする」保護者もいます。他の保護者が自分の子どもの顔が〇〇さんのブログにアップされている、削除するようお願いしてほしいと言ってくる、というトラブルが起きています。

 保育士のケースも保護者のケースもどちらも園にクレームが寄せられます。「職員や保護者がSNSを利用するのは、園には関係がない」と言っている場合ではなくなっています。トラブルになり得ることは、事前に注意喚起しておく必要があります。懲戒免職になった岐阜県の公務員の女性だけでなく、保育士にも信用失墜行為の禁止は、児童福祉法第十八条の二十一に定められています。自分がやっていることが信用失墜行為にあたらないかなど考えながら職員のみなさまは行動しなくてはいけません。

 園側はそんな職員のみなさんが信用失墜行為をしないように指導していかなくてはなりません。それと同時に他の保護者からのクレームを生まないためにも、園で撮影した写真や動画の使い方についても保護者に説明しておくことが園の大切なお仕事になってきています。新年度から二ヶ月、少しずつ気が緩んでくるころです。トラブルの芽は事前に摘んでおきましょう。

2016.05.23