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事故

保育所で男児死亡 検証委員会の設置、両親が川口市に申し入れ

保育所で男児死亡 検証委員会の設置、両親が川口市に申し入れ

 2015年9月に埼玉県川口市の認可外保育園で生後3カ月の男児が死亡した事故について、男児の両親と代理人弁護士らが5月11日、川口市役所を訪れ、事故を検証する第三者委員会を設置するよう申し入れた。市は「前向きに検討したい」と回答したという。

 申し入れ後、東京都霞が関の厚生労働省記者クラブで会見した両親は、「同じような思いをするお父さん、お母さんが出ないように調査してほしい」「息子がどんな気持ちだったか。苦しくなかったか。辛くなかったか知りたい。息子の死が無駄にならないように、再発防止策などで役立ててほしい」と話した。事故がなければこの日、男児は1歳の誕生日を迎えるはずだった。(弁護士ドットコムより引用)

 保育業界では、事故予防策も十分に行えているとはいえませんが、事故発生時の対応や事故原因の解明に関しては、それ以上にできていないと思います。

 そもそも、このような動きを両親が弁護士まで雇って行政に対してしなければならないのかというと、①当該施設の原因分析や被害者保護者に対する説明が不十分であること。②そのような施設の不十分な対応に関して、行政が指導しなかったこと。の2点があげられると考えられます。

 認可、認可外に限らず、大きな事故が発生したら、それをなかったことにはできません。発生したことに関する責任を負うわけですから、それをまっとうしなければなりません。その責任の中には、刑事的な責任や民事的な責任(損害賠償責任)だけではなく、説明責任や再発防止策を講じる責任も含まれます。

 法的な責任は裁判所が決めてくれるので、加害者、被害者ともにその結果を受け入れるということで完了します。しかし、説明責任や再発防止策は、被害者や利用者が納得しなければ、その責任を果たしたことになりません。この点を念頭において事故発生時直後から、対応を考えて行ってください。

2016.05.20