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スプーンの油

スプーンの油

 我が家では夫が本棚をDIYしています。木のパーツを切り出す所から、切り出すための線を引くところからです。私はアイリス〇-ヤマでも、安い本棚を買うの推しました。なぜなら、夫は組み立て家具は全部私に任せる、組み立てない人間だからです。

 夫は形から入るタイプで、すぐに飽きて買ってきた板は粗大ごみになるのではないかと予想していた私ですが、1か月弱を掛けて本棚が完成しつつあり、キャスターを付ける夫の横でこのブログを書いています。本棚を組み立てるための電動ドリル「マ〇タ」はオフィスにあるものを借りました。アイギスは本当に何でもあります。

 本棚は高さ180センチの大作で、我が家のクローゼットとベランダの間にすっぽり収まる幅で作っています。そもそも何故「本棚がほしい」となったかというと、私も夫もとんでもない量の本を読むからです。特に夫は毎日ブックオフに行く程の本の虫で、整頓好きの性格でも持っている本は100冊を超えます。私の本も合わせると300冊にはなるでしょう。大都会東京で、本を置くための場所代を家賃として払っているようなものです。笑えません。

 このブログを書いて、見直している間に本棚ができました。ことあるごとに本棚の前に立ち、何かぶつぶつ言いながら何分も愛でている夫を見ると、自分の製作物を見ながらお酒がたしなめる方々の気持ちが少しわかるような気がいたします。

 そんな本だらけの我が家ですが、1冊の本を読んで何個も「参考になったなあ」と思うことは稀です。脇も保育士オンラインセミナー『本を読もう』の中で、「1冊丸々読むことは一年に3・4冊」と申しておりましたが、私も本の中で心を動かされることは年々減っているような気がします。年齢でしょうか。

 ただ最近、1冊の本の中に10か所位「へえ」と関心することが載っているものに出会いました。その本にあったのがタイトル『スプーンの油』の話です。

 高校時代、文武両道で私が大好きだった友人に借してもらった本があります。パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』、この本はブラジルで出版された本で、夢に従って少年が旅をする冒険小説です。この本の中に、少年が賢者からスプーンに入れた油をこぼさないように、宮殿を一周してくるように言われる話があります。少年は油をこぼさないように宮殿のあちこちに行って戻ってくるのですが、賢者に「宮殿の何を見てきたか?」と尋ねられて、はじめて「何も見ていない」と気付く、という内容です。

 この話には様々な解釈があると思うのですが、私は「一つのことに集中しすぎると、周りの美しいものやその時にしか見えないものも見えなくなる」ことの例えだと当時解釈しました。ありきたりです、若かったです。

 しかし、最近読んだ本の著者は「スプーンの油をこぼさないことは、自分の価値観を守るのに必死になっている状態だ」と書いていました。『アルケミスト ~』を読んで干支を一巡するくらい月日が経ちましたが、「思いもしない本で、自分の知っている内容や話の新しい解釈に触れることができる」。そんな体験も読書の醍醐味ですね。

 因みに、この新解釈を与えてくれた本は『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』の著者、横田真由子さんの『シンプルでも「心ゆたか」に暮らす100のルール』です。なおさら驚きではありませんか?我が家はまだまだ本が増えそうです。

 

2021.11.30