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危機管理の主役は人か?道具か?

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うつぶせ寝事故防止 保育所に備品購入費補助へ

 政府は来年度にも、乳幼児の「うつぶせ寝」による事故防止製品などの購入費として、保育所に園児1人あたり最大4万円を補助する制度を創設する検討に入った。

 事故防止製品の普及を後押しし、人手不足に悩む保育所の安全性向上につなげたい考え。認可保育所と認可移行を促す狙いもある。

 補助金は、国と自治体(都道府県か市区町村)が分担する。来年度予算の概算要求には、保育対策総合支援事業費補助金427億円の一部に盛り込み、年末の予算編成に向けて具体的な検討を進める。認可外保育所は、認可への移行計画を作成していることなどを条件とする方向。

 うつぶせ寝の事故防止製品には、睡眠中の乳幼児の動きの低下や無呼吸を音やランプで警告する「無呼吸アラーム」や、睡眠中もあおむけの姿勢を保ち、観察が容易なベビーチェア「バウンサー」などがある。(2017年9月14日 読売新聞)

 安全体制を整備するときに、何かしらの道具や機械を使うことによって安全性を高めるという方法が選択される場合があります。これは、即効性がありますし、お金を使った分だけ、安全性も向上したような気がします。

 しかし、安全体制の主はヒトで、従はモノです。この構図が崩れなければ、モノ(安全装置)の導入によって安全性を向上させるのは有効だと思います。

 今回のような装置を導入後の事故現場で、容易に想像できる職員のコメントがあります。

「アラームが鳴らなかったので、呼吸していると思った」

 つまり、モノが主でヒトが従になっていたために事故が起こってしまうというよくあるパターンです。

 安全装置が保育現場に入ると、職員は安心します。つまり、危機意識が下がります。それがスキにつながります。安全装置を役立てるためにも、ヒトが安全管理の主役であるということを職員一人ひとりが自覚し、危機意識をコントロールすることが必要です。

 「無呼吸アラーム」を購入したから安全になったと園の職員が思うのであれば、購入しない方が園の安全は保てるでしょう。「安全装置を購入したら、園は安全になる」という安易な考え方は捨てた方が良いでしょう。

 安全装置を買うなら、職員に安全教育を施した方が有効だと思いますし、安全装置を購入する予算を確保するのであれば、保育現場の職員を養成するまでの教育課程に安全教育を導入した方が効果的だと思います。

2017.09.29