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園児を意識不明で発見

園児を意識不明で発見

保育所の排水溝に1歳男児の頭部入る・・・意識不明

 14日午後2時50分頃、福岡市南区の認可保育所「こばと保育園」で、同園に通う男児(1歳7カ月)が、園庭にある排水溝の穴に頭部が入った状態で倒れているのを保育士が見つけ、119番した。

 男児は病院に搬送されたが、意識不明の重体。福岡県警南署が当時の詳しい状況を調べている。

 発表によると、排水溝は雨水を一時的にためるもので、直径30センチ、深さ35センチの円筒状。水が深さ約7センチの位置までたまっていた。穴の部分は普段、プラスチック製のふたで覆われているが、男児が見つかった時には外れていたという。

 園を運営する社会福祉法人によると、当時、保育士3人が園内で男児ら0~1歳児の9人を遊ばせていたという。(2016年11月14日 読売新聞)

 今年、私どもの会社に保育園から入ってくる相談の中で、気になっているものがありました。それは、園児が園舎から抜け出して、外部の方から園に連絡をいただき、園児を迎えに行くといく相談です。この相談が例年より多く、頻繁に入っていたのです。

 園児が園から抜け出るのは、保育現場の職員が園児の動静を把握できていないということです。これまでの相談では、園児が無事に発見され、無傷で園に戻ってきていますが、今回の事例では、意識不明の重体になっています。重体ということは、死ぬ可能性もあるということです。

 当該保育園では、15日に緊急の保護者会を開き、理事長は「結果的に何らかの目が足りなかったと思う」と述べています。

 しかし、これは間違っていると思います。足りなかったのは、職員の目ではなく、職員への安全管理教育です。園児の動静を常に把握しつつ、保育をしなければなりません。事故当日、男の子が通うクラスでは保育士3人が子ども9人を担当。保育士は、男の子が昼寝から目覚めて屋内にいるのを確認していたが、その10分後に、屋外の排水溝で男の子が見つかったという報道がなされています。

 つまり、この保育園では、保育現場の職員に園児がいなくならないような動静把握をしつけられていなかったということです。園児の動静把握を怠るのは、死亡事故に直結する主要な原因のひとつです。

 「園児は数えなくてもいるのが当たり前」ではなく、「園児はいなくなるのが当たり前」という前提で保育に当たるように、保育士に安全管理教育を施しておくことが重要です。

2016.11.18