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育休や有休、早退でいつも周囲に謝り続ける母親たち

育休や有休、早退でいつも周囲に謝り続ける母親たち

 子供を育てながら働く女性の多くが、残業できないことや子供の急な発熱などで早退することに後ろめたさを感じ、周囲に気兼ねしています。共働きが当たり前になったのに、なぜ女性ばかりが周囲に謝り続けるのでしょうか。内閣府が10月に発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、女性が仕事を持つことについて「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と答えた人が初めて半数を超え、54.2%に達しました。けれども、幼い子供を育てている女性は、子供の世話で仕事を休みがちで、残業もあまりできません。そのたびに職場の同僚や上司におわびをし、周囲も「謝るのが当然」と考える傾向があります。
 

 東京都内で働く長谷川さん(40代、仮名)が、仲の良い同僚の鈴木さん(40代女性)、佐藤さん(30代女性)と昼食をとっていた時のこと。長谷川さんは結婚していて5歳と3歳の娘がいます。鈴木さん、佐藤さんは独身です。ライフスタイルは違いますが、気が合うので普段から仲良くしています。話題は同僚男性Aさんのうわさ話になりました。Aさんは英国籍の社員で、3人の子供がいます。「Aさんは子供のことがあるから、たいてい残業をせずに帰る」と、佐藤さんが言いました。

 長谷川さんが「日本の職場もそういう働き方に変わっていけばいいのに......」と口にしかけたその瞬間、佐藤さんと鈴木さんは全く反対の意見を言いました。「Aさんはみんなより早く帰るのに、すいませんと謝りもしない。謝るんだったらまだわかるけど......」。何だか怒っているようです。

 2人の顔色を見て、長谷川さんはハッとしました。普段、彼女たちは、長谷川さんの仕事と育児の両立に理解を示してくれていました。しかし、彼女たちも長谷川さんに対して、そのように感じることがあったのかもしれないと、思い当たったのです。長谷川さんは育児休業を取った時も、子供が熱を出して仕事を休む時も、上司や同僚に「ご迷惑をおかけします」「大変申し訳ございません」と謝ってきました。申し訳ないとは思うものの、次世代を担う子供を育てることは、社会に貢献していることになるはず。

 なのに、出産してから子連れで電車に乗る時も、会社で働いている時も、「迷惑だ」という視線を感じます。常に恐縮し、謝らなければ、周囲から白い目で見られるので、強いストレスを感じます。親であることは同じなのに、会社で謝り続けなくてもいい自分の夫に対しても、もやもやする感情を抱いてしまいます。(2016年11月27日毎日新聞)

 上記、記事の内容は、世の働くお母さん達のほとんどが経験していることだと思います。この現状を保育施設で働いている職員の方々はどの程度把握できているでしょうか。社会の中で強いストレスを感じているお母さんたちからしてみると、若くて独身の職員さんたちがうらやましく見えるかもしれません。そして、職員さんの対応が悪かったり、子どもが園でケガをしたりすると「私は一生懸命やっているのに、保育園の先生にまでこんな対応されなくてはいけないのか、自分は子どものケガに気を付けているのになんで保育園でこんなことが起こるの・・・明日会社になんと言って子どもを病院に連れていけばいいか・・・」など様々な感情を持つお母さんもいると思います。

 お母さんたちがどのような状況で働いているのか、どのような気持ちで園に子どもを預けてお迎えにきているのかを考えてみましょう。保護者対応は、まずは相手の立場を考えることから始まります。保護者対応に限らず人と関わるときは、相手のことをみなさん考えるのではないでしょうか。相手の立場を考えずに物を言ってしまうのでトラブルになるのだと思います。お母さんの状態によって、今日伝えようと思っていたことを明日に延ばしたほうがいいこともあると思います。とはいってもすぐに相手の立場で物事を考えて対応できるわけではありません。ですが、みなさまには毎日登園時と降園時にトライすることができます。

 失敗するときもあるかもしれません。その失敗を怖がらずに失敗から学び、日々トライ&エラーをしていきましょう。そして困ったらアイギスにいつでもご相談ください。

2016.11.28