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重要事項説明の重要性

重要事項説明の重要性

宇都宮保育施設放置死 詐欺罪不起訴で女児の両親が検審申し立て

 宇都宮市の認可外保育施設に預けられた女児が死亡した事件で、実態と異なる保育サービスを掲げて利用者を集めていたとして、詐欺罪などで元施設経営者らを告訴した女児の両親は9日、宇都宮地検の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。平成26年7月、託児施設「といず」(同年11月廃止)で宿泊保育中の女児(当時9カ月)が死亡。下痢や発熱の症状を放置し、熱中症で死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた元経営者は懲役10年の判決が確定している。

 両親は、看護師常駐や医師との提携といった「といず」が説明していた保育内容が嘘だったとして詐欺と詐欺幇助の罪で元経営者と家族を告訴したが、昨年1月に不起訴処分となった。

 この日、女児の父親と申し立て代理人の弁護士が県庁で記者会見し、父親は「見学会で紹介されていた内容はことごとく嘘で、赤ちゃんをぐるぐる巻きにしてミルクも与えないし、食事は残飯。冷暖房は経費を惜しんで使っていなかった。これだけ粗悪な保育をしていた詐欺集団が裁かれないことは許せない」と厳しい処罰を望んだ。寺町東子弁護士は「待機児童問題がクローズアップされ、保育がもうかると、いろいろな業者が参入する中、(悪徳業者に)くぎを刺す意味でもきちんと処罰してほしい」と訴えた。(2017年6月10日 産経新聞)

 保育制度が新制度になった平成27年4月から、保育施設は利用者に対して事前に重要事項説明をすることと、利用者の同意を得ることを義務付けました。

 この重要事項説明で重要なことは、重要事項説明書がきちんとできることはもちろんですが、最も重要なことは、重要事項説明書に書かれている内容と園の実態が一致していることです。

 今週の事例のように施設側は、虚偽の説明をいくらでもすることが可能です。しかし、直接サービスを享受している園児は、保護者に園の実態がおかしいことを訴えることは不可能です。したがって、良心ある職員が内部告発などをしない限り、事前説明と実態が一致していないことが露見することはないのです。

 わんずまざー保育園も森友学園関連の保育園も、重要事項説明に含まれる内容と実態が一致していませんでした。栃木の事例が活かされていなかったのも残念です。

 最低限でも、重要事項説明に含まれる内容と園の実態が一致しているかどうかを保護者のみなさんは気をつけて見てください。地方自治体の監査が安全面において適切に働いているという保証はありません。保育施設に関わる方々が少しずつセルフチェック意識を持って、施設を利用することが大切なことだと考えます。

2017.07.07