事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

謝罪LIVEから学ぶ、言葉の一人歩きによる「切り捨て」

謝罪LIVEから学ぶ、言葉の一人歩きによる「切り捨て」

 アイギスとしてYouTubeを発信する側になってから、よくYouTubeというものを見るようになりました。

 保育士を目指す年代の子たち、新卒の年代の子達に人気があるもの、面白いものも理解しようと思い、勉強のために見始めたことをきっかけにして毎日チェックしていたYouTuberの話をいたします。

 先日、そのYouTuberが深夜のコンビニ前で騒いでいる所を、近隣の住民が週刊誌にリークし、警察に通報したことでニュースなりました。メディアに出たその日のうちに、リーダーが LIVEで謝罪をしていのですが、私はそのコメント欄を見て「これからの新社会人と向き合う」ことについて、深く考えさせられました。

 LIVEはリアルタイムで視聴者がコメントをすることができます。開催している側も、閲覧している側も、どちらもそのコメントは見ることができるのですが....
「大丈夫、気にしなくていいよ!」「有名税だよ、僻み!」とコメントしている人と、
「今回の件を反省して、頑張って」「気が緩んだのはわかるけど、騒音は良くない」とコメントしている人に分かれていました。このLIVEは24万人近くの人が見ており、媒体としてはとても多い閲覧者数でした。

 さて、私が問いたいのは何かというと、自分と違う意見を目にすると「アンチ」だの「誹謗中傷」、「民度が低い」だのと言う人が多かったことです。私の見る限り、ごく僅かな人が大変人を傷つける言葉や否定する言葉を書いていましたが、それは24万人のうちの1、2人。どちらかと言うと「気にしなくていい」もしくは「反省して次頑張れ」の2つの意見で、埋め尽くされていたように思います。

 ただ、どちらの意見も目に入りますから、互いに相手のことを前述したような言葉で罵る人たちがとても多かった。そのことについて、言葉の一人歩きが起きていると感じたのです。

 約1年半前、テレビの人気番組の演者がネットの誹謗中傷を受けて自死したと報道がありました。多くの若い人たちが見る番組なだけあり、そこからネットの誹謗中傷がヒトの命を奪い得るものとして強く認識され、気をつけるようになった人が増えた一方で、よくわかっていない「騒ぐだけの自警団」も増えたように思います。

 相手を傷つける言葉というのは対面であっても大変わかりづらいものです。受け取る側の心の状態であったり、前後の出来事も関わって大変デリケートな問題であることは確かです。
今回の謝罪LIVEに関しては2つの意見が拮抗している状態で、さらに言えば「気にしなくていいよ」という人たちを「迷惑を掛けたんだからそんなことないでしょ」と諭そうとしていた人たちがいた矢先で出てきたその「切り捨て言葉」でした。

 人は不完全な生き物です。年齢が低ければ低いほど不完全かというと、必ずしもそうではないとは思いますが、今回の騒動のYouTuberのファンは高校生から大学生が多く、その年代の子たちが何か言われたことに対して、聞いたことのある言葉で切り捨てようとする場面を垣間見ました。

 人が生きていくのはSNSの中ではなく、現実の世界です。SNSで切り捨てていたものも、現実世界では後を着いて回りますし、回避せず向き合わなくてはならないこともたくさんあります。

 これから「切り捨て」経験をしてきた若者たちを「共に働く仲間」として迎える私達ができることは、「切り捨て」をしてきた背景を知って、寄り添い、協働するためにどんなアプローチなら届くのか、探っていくことなのかもしれません。

2021.09.17