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事故

さいたま市プール事故裁判⑨

さいたま市プール事故裁判⑨

 2017年さいたま市の保育施設のプールで園児の死亡事故が発生した刑事裁判の傍聴報告の第9回目です。

 この事故の刑事裁判は、1月9日に第3回公判が埼玉地方裁判所で行われました。前回の第2回公判は弁護士が証拠調べを申請した情状証人(被告人の量刑を定めるにあたって酌むべき事情を述べるために公判廷に出廷する証人)の尋問と被告人本人に対する質問が行われました。今回の第3回公判では、被害者の意見陳述、検察官の論告求刑、遺族の代理人弁護士による意見陳述、被告人弁護士による最終意見陳述が行われ結審し、2月14日の判決の言渡しを残すのみとなりました。

 被害者の意見陳述においては、遺族の方の園に対する恨み・憎しみが約40分にわたって主張されました。

 被害者の意見陳述に引き続いて、検察官の論告求刑が行われました。元園長先生と職員を禁錮1年に処すことが妥当であるとの主張でした。罰金刑ではなく禁錮刑を選択すべき理由として①結果の重大性②事故後の対応が不十分③事故予防の容易性④ガイドライン公表後の事故であること、の4点が主張されてしました。

 今回の裁判では、終始ガイドライン(教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン)公表後の事故であることの指摘がされていました。論告求刑に引き続いて行われた、遺族の代理人弁護士による意見陳述でもガイドライン公表後の事故であることは再三指摘されました。

 ガイドライン公表前の前例によると、元園長は無罪、職員は罰金50万の刑の言渡しが妥当ですが、ガイドライン公表後の事故であることからどこまで刑が重くなるのかが2月14日の焦点になります。

 2月14日の判決の言渡しは、今後の保育業界に甚大な影響を与えるため、アイギスでは2月18日【東京】、2月20日【札幌】、3月2日【博多】に『さいたま市プール園児死亡事故判決を検証する』と題し緊急セミナーを開催いたします。今後の保育業界に甚大な影響を及ぼす判決について、全裁判を傍聴したアイギスがセミナーを開催いたしますので是非ご参加ください。

2020.01.15