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事件

やはり不審者対策は内部対策!?

やはり不審者対策は内部対策!?

「出産ツアー向け」施設で乳児ら5人刺され重体 従業員逮捕

 米ニューヨークのクイーンズ区にある無認可の託児施設で21日未明、乳児3人と大人2人が刃物で刺されて重体に陥り、従業員の女(52)が殺人未遂の罪で起訴された。

 刺されたのは生後3日から1カ月の女児2人、男児1人と、負傷した子ども1人の父親(31)、女性従業員(63)の計5人。全員が地元の病院へ運ばれ、重体ながら容態は安定しているという。(2018年9月23日 CNN)

 最近でも、しばしば不審者対応に関するご相談や質問をお受けいたします。その際に、施設側が想定している不審者は、不特定多数の外部からの侵入です。

 保育施設への外部から不特定の不審者が侵入し、園児に危害を加えようとした事例は、2017年3月に大分県宇佐市のこども園で発生した事件しかありません。

 事故事例からいえば、保育施設での不審者事件といえば、内部者の犯行です。内部者とは、施設長、職員、保護者です。事例も職員の犯行ですし、相模原の知的障がい者施設の惨殺事件も元職員の犯行でした。

 離婚が成立し、母親が親権者になったあと、元夫が自分の子どもを園から連れ出す事件(親権を持っていない人が遺伝子的には自分の子どもを連れ出すことは誘拐になります)も発生していますし、自分の要望を何とか施設側に受け入れてもらおうと威嚇したり、暴れたりする保護者もいます(威力業務妨害に該当する可能性もあります)。

 このように内部者が不審者に変身して、園児や園に脅威を及ぼす可能性の方が、知らない外部者が園に脅威を及ぼす可能性よりもはるかに高いのです。したがって、不審者対応は内部対応ということになるのです。

 職員へのストレスチェックなども政府の方針によって、始まっています。事業規模によっては、義務付けられたところもあります。職員の施設への加害行為は、表出できない感情の表れだと考えられます。日常から健全な組織になるように職員相互のコミュニケーションに気を配り、気になる職員には、個別対応が必要なのです。

2018.10.05