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新型コロナウイルスにみるリスクの取り方

新型コロナウイルスにみるリスクの取り方

 現在、日本を始めとして全世界では新型コロナウイルスの対応で各国政府は忙しくしています。

 しかしながら、「なぜ?」というような対応も多く出ているので、「リスクを取る」という観点から、整理してみたいと思います。

 まず、リスクはリターンと対をなしています。つまり、リスクの裏にはリターンがあり、リターンの裏にはリスクがあります。そして、人類はリターンを取るためにリスクをコントロールする方法を日夜考えています。このことは大原則ですので、頭に入れておいてください。

 さて、新型コロナウイルス対策でおかしいところの1つに、小中学校は休みなのに保育園は休みではないところがあると思います。これをリスクを取るということで整理してみましょう。

 小中学校は、学校を休みにして授業時間が足りなくなったり、卒業式ができなくなったり、保護者が困ったりするという「リスク」を取っています。その代わりに学校での感染拡大防止という「リターン」を手に入れています。

 一方、保育園は、園児や保護者、職員の園内感染という「リスク」を取って、保護者の就労支援という「リターン」を手に入れています。

 園児や保護者や園の職員の感染リスクよりも、就労支援を優先するという真にバカバカしい対策を日本政府は取ったわけです。

 本当に新型コロナウイルスに脅威を感じ、この段階で封じ込めるのであれば、職場を封鎖すべきなのです。そうすれば、学校や保育園を休んでもまったく問題はありませんし、大都市での満員電車内での感染リスクを避けることもできます。

 まったくもって、中途半端な対策なのです。おそらく、高齢者でも既往症もない健康な成人や子どもがしに始めた段階で、新幹線も飛行機も止め、駅も港も封鎖するのでしょう。だったら、最初の段階で中途半端に対応しないで、覚悟を決めて対応すべきなのです。

 先週の金曜日は、東京ディズニーランドとシーが休演になる最終日でした。この日に合わせて、日本全国からゲストが殺到しました。ここでも大型の感染は起きていることでしょう。

 大きな混乱も出さずに、なるべく静かに公衆衛生対策を進めたいというのは、ムシの良い話で、そんなことは無理なのです。新型コロナウイルス対応を見ても、この国は危機管理後進国だと痛感いたしました。

2020.03.06