事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

身近にある危機対応の失敗事例

身近にある危機対応の失敗事例

 先日、自宅に帰ろうと地下鉄に乗っていたときのことです。電車は満員電車でした。電車のドアがプシューと閉まり電車が出発するかと思っていたらなかなか電車が出発しません。電車の時間調整であれば、ドアを開けたままにしておくことが通常なので時間調整ではないな、おそらく別の車両のドアにコートやバッグなどが挟まったのだろうと、私を含めドアの周辺に立っていた乗客は、ドアが再度開いても電車から押し出されないようにドアから少し離れ足に力を入れました。しかし、待てど暮らせどドアが開くことはありません。ちょうど1分が経過したころ、電車は何事もなかったかのように発車しました。車内アナウンスによる説明もないため、私は何が起きたかわからず、「せめて簡単な説明ぐらいしてくれよ!」と思いました。私の周りの乗客も同じように思ったと思いますが、大人ですから何事もなかったかのように素知らぬ顔をして次の停車駅に向かいました。

 この鉄道会社の対応には危機対応のミスが含まれています。危機対応とは事故・トラブル後の対応です。通常ではない自体が発生し利用者に何が起きたのだろうと思わせてしまったのであればしっかりと説明し謝罪する必要があります。今回の電車のトラブルの場合、もしかしたら、痴漢の被害者の名誉を守るためどのようなことが起きたか説明できなかったのかもしれません。それならば、「お待たせして、申し訳ございませんでした。」という謝罪を車内アナウンスで行うことは可能だったはずです。

 電車の発車が少し遅れたとしても大人の利用者は騒ぎ出すことはありません。大人になりきれていない方は稀にいらっしゃいますが...

 しかし、これが我が子のことに関してとなると、しっかりとした説明と謝罪がなければ納得できないという方が大多数派になります。それもそのはずです、我が子はなにものにも代え難い宝物だからです。そうです、保育施設ほど危機対応の必要性は増しているのです。事故・トラブルを起こさないための危機管理も当然重要です。しかし、事故・トラブルの発生を根絶することはできません。そのため、保育施設においては危機対応のミスこそしてはいけないものだということを忘れないようにしてください。危機対応のミスはしっかりと学習し意識すれば根絶することができるのですから。

2019.12.25