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USJ年パス・帰省費も補助 大阪市が保育士確保大作戦

大阪市は、他の都道府県出身者で市内の保育所に新規採用された保育士に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などの年間パス費や帰省費を補助する方針を固めた。待機児童対策で保育所が急増する中、地方から保育士を呼び込む狙いだ。

 具体的には、USJなどの年間パス費を2万5千円まで補助。帰省費は近畿外が6万円、大阪府以外の近畿1府4県の出身者には2万円を補助する。勤務先の保育所を通じて支給する仕組みで、新年度予算案に2800万円を計上する。

 吉村洋文市長は待機児童ゼロを公約に掲げ、2018年4月現在の待機児童数は前年の325人から65人に減少した。一方、大阪市内の保育所が急増し、同年1月の府内の保育士の有効求人倍率は全国平均の3・38倍を大きく上回る5・13倍だった。

(2018年1月17日 朝日新聞デジタル)

 待機児童解消のための保育施設の急増により、施設管理者の保育士獲得はより困難なものになっています。大阪市が打ち出した解決方法は、USJの年間パス費や帰省費などに対する補助です。この解決方法は、大阪市内の保育施設で働きたいという、動機付けをする役割を持っています。あの手この手で保育士を確保しようとしているのはどの施設も同じではないでしょうか?保育士を確保するために求人サイト等に多額の金額を支払ったりしているのではないでしょうか?

 ここで、一つ考えていただきたいのは、保育士の確保は新しい保育士を獲得するだけではなく、既存の保育士に働き続けてもらうという方法もあるということです。何も、新しい保育士を確保することだけが、求人活動ではないということです。既存の保育士に働き続けてもらう場合には、求人活動のために別途必要になるコストもありません。

 では、既存の保育士の退職を防ぐためには給与をあげればいいのでしょうか?給与をあげることは、給与が少ないと感じている保育士の不満を解消することができます。しかし、給与が上がったから仕事にやりがいを感じるということはありません。仕事にやりがいを感じるためには保育士の不満足を解消するのではなく、保育士の満足感を満たす必要があります。保育士が仕事に満足感を感じるのは、保護者や園長先生、同僚に「ありがとう」という言葉をかけていただく等の方法で認めてもらうことや、園児の発表会などをやり遂げたという達成感です。保育士の気持ちをつかむため、職員の不満足の解消をすべきだと考えがちですが、実は保育士の仕事に対する満足感を与えることこそ職員の気持ちをつかむ方法なのです。保育士の奪い合いが始まっている現状において、ご参考にしていただければ幸いです。

2019.01.23