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2019年展望「あたりまえのことをあたりまえにやる」③

2019年展望「あたりまえのことをあたりまえにやる」③

1.福島の保育園で1歳児死亡 マニュアル是正せず

 福島市内の認可外保育施設で、うつぶせ状態で昼寝をしていた1歳2ヵ月の男児が死亡していたことが26日わかった。市や園によると25日午後2時ごろ、父親が迎えにきたため、20代の女性保育士が男児を起こそうとして心肺停止状態になっているのに気づいた。男児は今月10日に入園したばかりで、短時間の慣らし保育中だった。

 同園によると、市の7月の監査で睡眠時の1歳以上の見守りを「10分おき」にするように指導されたが、マニュアルの「30分おき」を是正せずに続けていた。園長は取材に「本当に申し訳ない。確認に非があったことは間違いない」と話した。(2018年12月27日 河北新報)

2.福島市内の認可外保育施設 大半が就寝時の見守り間隔定めず

 福島市内の認可外保育施設で、うつぶせ状態で昼寝をしていた1歳2ヵ月の男児が死亡した問題を巡り、市内の認可外36施設の大半が睡眠時に園児の様子を確認する間隔を定めていないことが27日、市への取材でわかった。市は同日、2019年1月から認可外の全施設を緊急立ち入りし、保育状況を確かめる方針を示した。

 市は認可外施設に対して認可施設の慣例に従い、0歳児は「5分ごと」、満1歳以上は「10分ごと」に様子を確認するよう指導していた。市は課題のあった施設に対しては口頭で改善を呼びかける程度にとどまってきたといい、指導の在り方も見直しが迫られそうだ。(2018年12月28日 河北新報)

3.「認可外保育施設」点検へ 県と中核市 昼寝中の安全体制把握

 福島市の認可外保育施設で昼寝中の1歳男児が死亡した問題を受け、認可外保育施設を所管する県と中核市の福島、郡山、いわきの3市は近く、施設の緊急点検を実施する。園児が死亡した昼寝中における施設の安全確保体制を把握する狙いで、3月末までに全施設を点検する方針。県は点検結果を公表する考えで、安全体制に不備があれば改善を促し、再発防止を徹底する。(2019年1月8日 福島民友新聞)

 今週の当たり前は、睡眠中の見守りです。事例の1と2よりおわかりのように、事故現場となった認可外保育施設では、睡眠中の見守りを(事故防止につながるレベルでは)していなかったことがわかります。

 しかも、その状態に行政は気づき、把握し、指導していたのにも関わらず、指導内容が是正されたか、どうかは確認していなかった。ということがわかります。さらに事例2でおわかりのように、福島市内の認可外保育施設の大半では、今回の事故が起きた施設と同様に睡眠中の見守りを十分にしていないのにも関わらず、市はその状態を知りながら、放置しています。

 睡眠中の死亡事故は、保育施設に預けられている時間内に発生する死亡事故の中では、最多件数を記録しています。ということは、保育施設においてまず最初に実施する安全対策は睡眠中の事故防止、つまり見守りの徹底です。

 この傾向(睡眠中に多くの死亡事故が発生していること)は、10年以上前からはっきりとしています。それをきっちりと実行できない施設は、廃止すべきなのです。つまり、行政が点検する→不備に是正を勧告する→是正が認められない→施設を廃止する(あるいは、安全体制が整っていないことの情報を開示する)という流れが当たり前なのです。

 こういう課題が浮上すると、行政は「私どもも人手が足りなくて・・・」ということを言います。だとしたら、保育施設は増やすべきではないのです。たとえ、待機児童が市内にあふれれかえっていたとしてもです。

 10年以上も前からわかりきっていた睡眠中の事故に対する事故防止ができていなかったゆえに、今回の事故は発生しました。市内の施設で死亡事故が発生したから、安全対策を実行してまいります。というのは、あまりに杜撰な行政対応だと思います。せめて、同じような事故が福島市内で発生しないことをお祈り申し上げます。

2019.01.18