事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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最近気になること

2019年展望「あたりまえのことをあたりまえにやる」②

2019年展望「あたりまえのことをあたりまえにやる」②

1.認可外保育施設の質向上策を協議

 2019年10月から始まる幼児教育・保育の無償化をめぐり、政府は25日、全国知事会や全国市長会などと認可外保育施設の質を高めるための方策について協議した。

 無償化は、ベビーホテルやベビーシッターなど認可外の施設・サービスも対象となる。このため、保育の質や安全性が確保されていない施設などの増加を懸念する意見もある。

 協議では、無償化する認可外の対象範囲を、安全性が確保されている施設・サービスに条例で限定できるようにする仕組みづくりや、ベビーシッターの安全基準の創設などが議論された。(2018年12月25日 時事通信社)

2.保育園長が泥酔 開園できず

 川崎市の認可外保育園で10月、園長が開園時間に泥酔していたとして、川崎市が改善勧告したことが分かった。

 市保育課によると、トラブルがあったのは10月9日午前8時ごろ。「園長と保護者がトラブルになっている」との110番通報があり、市の職員が保育園にかけつけると、30歳代の女性園長が酒に酔った状態だった。保護者の話では、チャイムを押しても園から反応がなく、保育室に酒のパックや酎ハイの空き缶、靴入れの上にたばこが置いてあったという。

 園長の自宅1階部分が保育園で、園長はこの日、休みだった。知人らと夜、保育室で酒を飲んでいたという。園長は10月分の保育料を保護者に返したが、10人いた園児のうち、退園が決まっていた1人のほか、6人も退園した。(2018年12月27日 朝日新聞)

 2つの事例を出しました。国が認可外保育施設の質を高める議論をしていることと、園長が泥酔していて園を開園できずに110番通報を保護者にされた事例です。

 1の事例に出ているように、幼児教育・保育の無償化のために手段を選ばず、保育施設を増やしている手前、数は増えたけど中身は大丈夫なのか?という質の議論は必要不可欠です。

 しかしながら、2の事例を見ていただければお分かりのように、公私混同をしている保育事業者も一定数存在しております。そして、それは認可外の保育施設に限った話ではありません。認可されている保育施設の園長にも公私混同して保育施設を運営している方々は存在しています。

 以前、ここのブログでも書きましたが、まだ、保育業界は質の議論をするのは時期尚早だと思います。数が充足され、保育施設が潰れ始めるという淘汰が始まって、質は向上していくと考えるのが自然です。

 もちろん、1の記事で国が議論しているのは、高い質の議論ではなく、最低限の質を提供できるような仕組みを議論しているということは分かっています。でも、2の事例を見ても分かるように、他人の子どもの世話をする前に自分の面倒も見きれない人たちが保育業界になだれ込んでいるのです。

 質の向上には、犠牲が必要です。それは、施設がなくなってしまう運営者だけではなく、2の事例の中で、やめざるを得なかった保護者たちのように利用者にも犠牲を払ってもらわなければならないと思います。

 前回の事例でも言いましたが、自分が利用者として犠牲者になりたくないのであれば、保育施設をしっかりと見極められる知識を身につけてください。犠牲者になってから、文句を言っても「覆水盆にかえらず」なのですから。

2019.01.11