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訴訟の季節 2

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大阪地震のブロック塀倒壊死 住民訴訟「市へ賠償を」

 大阪北部地震でブロック塀が倒壊し、高槻市立の小学校4年の女児(当時9)が死亡した事故で、塀の点検に落ち度があったとして、市長を相手取った住民訴訟を16日、高槻市市議が大阪地裁に起こした。業者や当時の市幹部らに点検費計約2700万円を市へ賠償させるよう求めている。

 訴状や監査結果によると、3年に1度の定期点検で、市教委から2010、13年度にそれぞれ委託された2業者は同校の塀を点検せず、16年度の業者は劣化状況のみを調べ、耐震対策の点検をしなかった。(2018年11月16日 朝日新聞)

 これは、個人の重過失により、損害が市に生じたので、例え公務員でも、個人的に市に損害賠償をしなさい。という結論を求めている裁判です。業者には、代金をもらっていたのに、それなりの仕事をしなかったのだから、代金を返還しなさい。ということを求めています。

 事故や災害の現場では、損害を生じさせた当事者(保育施設内の事故であれば、事業者や職員)の責任は、民事でも刑事でも厳しく問われます。

 でも、保育施設を指導、監督すべき、行政の責任まで問われるということはありません。私は、つねづね、そのことは「おかしいのではないか」と思っていました。

 保育施設の安全のルールを作るのは、国の機関である内閣府や厚労省や文科省です。それが、現場でどの程度実現されているのか、間違った解釈で間違った安全対策をしていないのかを確認するのは、地方行政だと思います。

 つまり、今回の事例のような件が保育現場で起こったとした場合、安全対策を実行するように指導、監督してなかったのであれば、行政担当者にも、事故を起こしてしまった施設長や職員と同等のペナルティを課すべきではないでしょうか。

 そのようにしなければ、保育施設に対する通常監査は安全面の確保という面では、まったく機能していないということになるでしょう。現在、行政が保育施設に対して行っている監査において、安全面についての指摘事項を弊社のお客様から教えていただくことがしばしばあります。それらの指摘事項は、まったく的を射ておらず、何のために聞いているのかという目的すらも理解できないものがほとんどです。

 保育現場と行政ががっちり手を組んで、安全レベルの向上に努めていっていただくことを切に願います。

 

2018.11.30