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事態を最小限の被害に抑えるために必要なこと

事態を最小限の被害に抑えるために必要なこと

 ジャカルタ・アジア大会のバスケットボール男子日本代表の選手4人が20日、女性を買春したとして日本オリンピック委員会(JOC)から19日付で代表認定の取り消し処分を受け、帰国した。東京都内で20日夜に記者会見した4選手は「良くないことをしている認識はあったが、浮ついた気持ちだった。日の丸を背負うという自覚がなかった」と謝罪した。(2018年8月20日 毎日新聞)

 バスケットボール男子日本代表の選手4人の日の丸を背負う自覚のなさから日本バスケット協会は選手の買春という事態に直面してしまいました。日本バスケット協会としては、事前に代表選手が買春などのモラルに反する行為(日本においては違法な行為、現地においても違法である可能性がある行為)をしないように事前教育をしておく必要があります。しかし、事態が表面化してしまった場合に、なぜ事前教育していなかったのかを嘆いていても事態は改善いたしません。むしろ、事態は悪化するばかりです。起きてしまった事態を受け止め、社会的信用が落ちてしまったことを受け止め、真摯に対応していかなければ、バスケットボール協会の社会的信用は加速度をつけて低下していきます。

 その点、日本バスケットボール協会は17日に選手が買春をしたことを受けて、速やかに事実確認をし、19日に日本で会長と選手で謝罪会見を開催しています。そして、謝罪会見では全面的に事態を受け止め謝罪をしています。選手が買春してしまったため、これにより日本バスケット協会の社会的信用が著しく低下したということは紛れもない事実です。しかし、速やかな真摯な謝罪会見で日本バスケット協会はさらなる社会的信頼の低下を免れることができたのです。日本バスケット協会は、今後なぜしっかりとした選手教育をしてこなかったのかという点で責められ続けられますが、買春という事態を受けての対応で責められる可能性は低くなりました。

 もう1つ記事を紹介いたします。

 社会学者・古市憲寿氏(33)が21日、フジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)に出演し、ジャカルタ・アジア大会中に代表公式ウェアで買春行為をし、日本選手団の代表認定を取り消されたバスケットボール男子日本代表4選手に関する報道に苦言を呈した。

古市氏は「褒められた行為じゃない」と前置きした上で「そこまでさらし者にすることかなと思ってしまっていて」と感じたという。(2018年8月21日 スポーツ報知)

 社会からこのような同情的な意見が出てきたのであれば、起こってしまった事態の対応としては正しかったという事です。

 起こってしまった事態を最小限の被害に抑えるための方法は、自らの正当性を主張することや、言い訳をすることではありません。みなさまにおかれましても、起こってしまった事態を最小限の被害に抑えるための良い事例だと思いますので参考にしてみてください。

2018.08.22