雨災害は予想ができる災害です。
西日本を中心に大きな被害をもたらした今回の豪雨では、広島県、岡山県、愛媛県を中心に大規模な土砂災害や浸水が発生いたしました。死者数は7月10日時点で12府県130人に上っています。平成に入ってからの豪雨被害としては最悪のものとなってしまいました。被害にあわれてしまった皆様には、心よりお見舞い申し上げるとともに一日も早い再建をお祈り致します。
日本は雨災害で犠牲者がほぼ毎年出ております。昨年の九州北部豪雨でも死者40人、行方不明2人の被害が出ております。日本の雨災害を上げだしたら枚挙にいとまがありません。
雨災害は地震と異なり予想ができる災害です。それにも関わらずなぜ犠牲者が減らないのはなぜでしょうか?答えは簡単です。「私達の住んでいる所は今まで大きな雨災害が無かったから今回も大きな被害は出ないだろう」「今回の雨災害もテレビの向こう側の話で私達には関係ないだろう」などと考えて避難をするのが遅れてしまうからです。
人間はパニックを起こさないために、異常事態を異常事態と認識しないようにプログラミングされています。異常事態であるにもかかわらず正常の状況だと判断してしまうのです。これを正常性バイアスといいます。避難が遅れてしまう原因はこの正常性バイアスにあります。
園児の安全を守る必要がある保育施設の管理者や職員は、大雨の際に自動的に作動してしまう正常性バイアスを打ち破る必要があります。そのためには、前もって正常性バイアスを打ち破るスイッチを用意しておくことが重要になります。このスイッチが何になるかというと、市町村が発表する「避難準備・高齢者等避難開始」です。
園児は「高齢者等」の「等」に含まれます。高齢者等は災害弱者といわれます。それは1人では避難できないからです。「避難準備・高齢者等避難開始」というのは、災害弱者以外の方が避難準備をすればいい段階で、園児は避難を開始してくださいと市町村が呼びかけているわけです。
「避難準備・高齢者等避難開始」という正常性バイアスを打ち破るスイッチをしっかりと園内で共有し、いち早い避難を心がけてください。また避難場所も事前にしっかりと決めておいてください。今回の豪雨で犠牲になってしまった方々のためにも、今回の教訓を園の防災にお役立てください。