事故・トラブル最前線

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最近気になること

保育の世界も人手不足倒産時代の到来です。

保育の世界も人手不足倒産時代の到来です。

保育士不足 204園が定員減らす 87自治体調査

 保育士不足を理由に、今年4月時点で少なくとも全国24自治体の204の認可保育園で、受け入れる子どもの数を減らしていたことが朝日新聞の調査でわかった。保育施設の数は増えているが、自治体間の奪い合いや厳しい勤務実態から保育士の確保が追いつかず、待機児童が解消されない実情が浮かんだ。(2018年7月2日 朝日新聞)

 私どもの会社では、職員の退職や労使間トラブルに関する相談も多く寄せられます。その数は年々増えています。今回のブログでは、保育士の働く環境について考えたいと思います。

原因① 保育士の気持ちが反映されていない職場

 保育士の気持ちや意見や考えなどが施設長まで届いておらず、「転職するのが面倒くさいから、今の職場にいるだけ」という職員がいる職場は何かのきっかけで大量退職という自体を引き起こします。統制力があるリーダーとワンマンなリーダーというのは、似て非なるものです。人間にはそれぞれ感情や気持ちがあります。それを理解するように心がけることが職員が定着する職場作りにつながると思います。

原因② リーダーが機能していない職場

 司馬遼太郎さんの著作である「夏草の賦」には、「大将は先駆けず、遅れぬもの」と書いてあります。つまり、戦場で敵に近づきすぎず、自陣の後方に待機しすぎてもダメという意味でしょうか。しかし、私は、中小団体のリーダーとは、先頭か最後尾にいて仕事をするものだと思います。状況が好転しているときは、先頭に立ち自らが働き、悪化したときやトラブルなどの非常時には、最後尾(殿)で他の職員を安全な場所に逃がすまで自分が盾になる覚悟で留まることが必要だと思います。それができていないリーダーがいる職場は、職員が定着しないでしょう。

原因③ 保育士が安心・安全に働くことができない職場

 どこの職場でも職員に対する安全配慮義務は存在します。特に保育施設では職員が安心して、安全に働ける職場環境を整えることが重要です。しかしながら、保育現場の安全体制作りに国が着手し始めたのは、2015年4月からです。その前から安全体制作りに取り組んでいた施設もあれば、2015年から着手した施設もあれば、まだ着手していない施設もあります。今後は、保育士が安心して安全に働ける環境を整えていない施設に保育士は入職しないでしょう。そのことにいち早く気づき、安全体制作りを進めることこそが重大課題だと思います。

 以上①~③の項目をチェックし、対策を講じなければ、みなさんの施設も人手不足倒産するかもしれません。

2018.07.06