事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

天災の中の人災

天災の中の人災

大阪府北部震度6弱 被害拡大 9歳女児が死亡

 気象庁によると、18日午前7時58分ごろ、大阪府北部で震度6弱の地震があった。震源地は大阪府北部。震源の深さは13キロ、地震の規模はマグニチュード6.1と発表した。

 警察庁によると、大阪市内で80代の男性1人の死亡が確認された。また、大阪府警によると、高槻市で倒壊したプールの壁に挟まれて心肺停止となった女児(9)の死亡を確認した。(2018年6月18日 スポニチアネックス)

 この小学校の塀に関しては、高槻市も違法建築だと認めています。この小学校に関しましては、2015年11月に防災教室を開催しています。そこに講師として招かれた専門家がプールサイドの塀の危険性を指摘しています。

 その後、2016年2月に小学校の校長が同小学校を訪ねていた教育委員会の職員に、塀の危険を指摘されたことを伝え、同職員が塀を検査し、危険度はないという判断を下しています。その塀が今回の地震で倒壊し、9歳の少女の命を奪ったのです。

 今回の問題点は、①専門家に危険性を指摘してから、約4ヶ月間問題を放置していること。②専門家が危険性を指摘して、素人が検査し安全だと判断していること。③違法建築の塀が小学校に建築されていること。この3つに限ると思います。

 ①については、そもそも地震といういつ起きるかわからない天災を学校長が放置している姿勢が問題です。危険性を指摘され、最高責任者がどこにも相談したり、対応したりしないということは、何かがあれば、全責任は校長が負うということです。でも、現実は今回のように生徒が亡くなるようなことがあれば、責任なんて取れないのです。

 ②については、専門家が危険と指摘して、素人が安全だと判断する。私の周りにも、このような教育委員会の職員みたいな方ばかりがいて、安全体制作りの邪魔しかしてきません。何か起きた際に責任なんて取れないのに、出しゃばる素人はどこにでもいるものです。

 ③については、論外なので、何もコメントする必要はないと思います。

 大阪地震から2週間経とうとしている今、全国の小中学校では、学校周辺のブロック塀を検査し、早いところでは撤去が始まっています。これ自体は良い動きだと思いますが、できれば犠牲者が出る前にやっていただきたいと思います。人間は死んだら生き返らないのです。死んでから安全になったとしても、そのために払った犠牲は戻ってきません。その当たり前かつ、本質的なことを強く胸に刻み込んでいただきたいと思います。

2018.06.29