事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

幸福とは何か?

幸福とは何か?

 先日、ラッセルの「幸福論」を読みました。

 その中の一節に、「愛情の受け手になることは、幸福の強い原因である。しかし、愛情を要求する人は、愛情を与えられる人ではない。愛情を受ける人は、大まかに言えば、愛情を与える人である」とあります。つまり、愛情を与えられる能力がある人ではなく、愛情を与えるという行為をした人が愛情を受けられるということなのです。

 また、「人間は、自分の情熱と興味が内ではなく外へ向けられているかぎり、幸福をつかめるはずである。恐怖、ねたみ、罪の意識、自己へのあわれみ、自画自賛などの自己中心的な情念を避けるように心がけねばならない」とも書いている。つまり、「人を幸せにすることが自分の幸せだ」と思えるようになると、一気に自分の幸せが増えるということなのです。

 最近、香川県善通寺市から目黒区に転居した夫婦が5歳の女児を虐待によって殺したという事件や、新幹線内で無差別殺傷事件を起こしたというような自己中心的な犯罪がニュースでよく扱われています。これらのニュースには、加害者が自分は幸福だと思っていないという共通項があります。

 おそらく、目黒区の夫婦は自分たちのことを幸福だと思っておらず、社会に不平不満を抱き、そのストレスを5歳の女児に向けていたのだと思います。新幹線の事件の加害者もおそらく同じような心情でしょう。

 なぜ、彼らは自ら幸福感を得ることがなかったのでしょうか。それは、ラッセルの幸福論から引用した部分に原因があると思います。まず、自分以外の人が幸福だと思えるような行動をしなかったからではないでしょうか。しかし、そこにも大きな課題が存在することも事実です。自分以外の人間をまず幸せにするのは、自分自身が強くないといけません。自分の欲求を殺して、他人の欲求をかなえなければなりません。要するに自分勝手ではできないことなのです。

 最近の保育現場では、職員が園児に虐待行為をすることも一般化してきましたし、職員が職場を辞める際にも自分勝手な方法で辞めるのも一般化してきました。その人たちは本当に自分のことしか考えられない自分勝手な人たちです。

 それらの行為は、ラッセルの幸福論に従えば、自分を幸せにできない人たちでもあります。

 「急がば回れ」ということわざがあります。これは、自分の幸福にも言えることなのではないでしょうか。みなさんもお暇があれば、ラッセルの幸福論を読んで、幸福について考えてみてください。

2018.06.15