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賞味期限は食べ物に限った話ではありません

賞味期限は食べ物に限った話ではありません

 日本大学アメフト部の問題は、ようやく収束してきました。(ただ、世間が飽きただけで問題の抜本的な解決はなされていませんが...。)今回の事態で最大の問題点は、タックルした部分にあるわけではなく、その後の対応のまずさで、ここまで問題を深刻化させたことにあります。

 つまり、今回の問題は人災なのです。その中でもひときわ目を引く人物は、「日大ブランドは落ちません!」と叫んでいた同大学の広報担当者でしょう。

 この方は共同通信社出身のマスコミのプロです。しかし、その得意分野で失敗をしてしまいました。その原因はどこにあるのでしょうか。それは、彼が社会の変化に伴って自分の考え方やテクニックを変更しなかった点にあります。

 そもそも、危機について取材する側とそれに対応する側とでは、難しさがまるで異なります。取材する側は、ただ単に結果論で攻め立てれば良いので、非常に楽だし、簡単です。最近のマスコミ報道は問題の本質を報道するとかではなく、炎上して、売れれば良いだけの商業市場主義ですから、昔に比べても簡単になっています。それに比べて受けて立つ側は、なるべく炎上しないようにしなければならないので、非常に難しくなっています。

 要するに、マスコミ出身者を危機発生時の記者会見に司会として起用していれば、問題ないだろうという同大学の人材起用に甘さがあるわけです。これが賞味期限切れの人材なのです。

 昔は有能で、任された役割もこなせていたが、加齢に伴い、体力も能力も後退し、役割が果たせなくなるのが人間です。この事実からは、誰も逃れることはできません。すべての人間は賞味期限が切れるようにできているのです。

 だから、賞味期限が切れているのか、いないのかを、自らが常に意識していなければならないし、人事をする側は本人よりも気にかけておかなければならないのです。昔の肩書きよりも、今の実力なのです。

 人材のほかにも賞味期限が切れるものがあります。危機管理の世界では、マニュアルがそれにあたります。マニュアルを取り囲む世界は常に変化しております。その変化について行っているか、どうかは常にチェックしておかなければならないのです。

 みなさまも身の回りにある食べ物以外の賞味期限に目を向けてみてはいかがでしょうか。

2018.06.08