ガイドラインを守っていない割合は?
消費者安全調査委員会(消費者事故調)は24日、幼稚園や保育所などを対象にプール活動の安全対策に関する調査結果を公表した。
水遊びなどを行う際、3歳児クラスの6.6%で監視に専念する職員が配置されていないとし、事故調は人員が不足する場合はプール活動を中止するよう求めた。
調査は昨年7~8月、全国の幼稚園、保育所、認定こども園の計5000カ所を対象に実施。各施設の園長や教諭、保育士らにアンケートを行い、2712カ所から回答を得た。
その結果、プール活動や水遊びを実施する際、3歳児クラスでは教諭らの6.6%が「水の外で監視に専念する職員がいない」と回答。4歳児、5歳児クラスも、それぞれ8.6%、9.3%が監視役がいないと答えた。
監視役を配置できなかった場合の対応について園長に尋ねたところ、全体の17%が「中止しない」と回答した。 〈2018年4月24日 時事通信〉
消費者安全調査委員会が大和市で起きたプール事故を調査して報告書を公表したのが平成26年6月です。その後、この報告書で指摘された再発防止策がガイドラインに記載されたのは平成28年3月です。プールでの重大事故を起こさないためにガイドラインが定めたことは
①監視者は監視に専念する。
②監視エリア全域をくまなく監視する。
③動かない子どもや不自然な動きをしている子どもを見つける。
④規則的に目線を動かしながら監視する。
⑤十分な監視体制の確保ができない場合については、プール活動の中止も選択肢とする。
⑥時間的余裕をもってプール活動を行う。
消費者安全調査委員会の報告書が公表された時点で、各保育施設はこれらのこと(①~⑥)を知らなかったということが許されなくなりましたが、ガイドラインが公表された現在さらに知らなかったという言い訳が通用しなくなりました。
もし、保育施設でプールの死亡事故が起きた際、嫌というほど多方面から①~⑥のことはできていましたか?と尋ねられます。そして、できていなければ社会から最低限の安全も確保できていない保育施設だったんだと評価されてしまいます。この評価は、如何にすばらしい保育を実施していたとしても免れることはできません。
それにもかかわらず、3歳児クラスの6.6%は①の監視者は監視に専念するという体制をとっていなかったのです。そして、アンケートに答えていない2891カ所も水の外で監視に専念する職員がいなかったと仮定すると、57.8%もの施設で①の監視者は監視に専念するという体制をとっていなかったのです。アンケートに答えない理由としては、忙しかったから等の理由も考えられますが、園の体制が整っていないから答えたくなかったというのが人間の心理ではないでしょうか。
プールでの死亡事故を無くそうと行政は整備を進めています。私達もプールでの死亡事故を撲滅しようと活動しています。プール事故ばかりではありません、ガイドラインにはその他にも睡眠中・誤嚥(食べ物)・誤嚥(食べ物以外)・食物アレルギーについても最低限のルールを定めています。今回の報道では約60%がガイドラインに従っていないという結果が突きつけられました。ガイドラインに従った体制は整備できていると思っている施設においても、先入観を捨てて今一度ガイドラインを読み返してみてください。そうしたら、新しい発見があるかもしれません。私達もガイドラインの研修・ガイドラインに基づいたマニュアルの導入とお手伝いできることがあります。それぞれの立場で保育施設での死亡事故・重大事故を少しでも無くしていきましょう。