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新社会人応援月間 企画2「信義則ってとっても大事」

新社会人応援月間 企画2「信義則ってとっても大事」

自民党議員がマタハラ発言か 自身運営の保育園で

 自民党の白須賀衆院議員は29日、働き方改革関連法案を議論する党の厚生労働部会などの合同会議で、自身が運営する保育園で病児保育のための採用した看護師について「雇って1ヵ月後には実は妊娠して産休に入ると(言ってきた)。人手不足で募集したのに、それは違うだろと言った瞬間に労基(労働基準監督署)に駆け込んだ」と発言した。

 妊娠や出産を理由とする職場での嫌がらせ「マタニティーハラスメント」と、批判されかねない発言だ。白須賀氏は会議後の報道陣の取材に「プライベートな件なので(詳細を)答える気はない。そういう事例がある、ということだけ」と話した。(2018年3月29日 毎日新聞)

 この事例のようなことは、実は、保育園や幼稚園の採用の場で、しばしば生じる問題です。採用面接のときに「産休や育休のことばかり質問してくる人がいるな」と思ったけど、特に気にもとめないで採用したら、実はもう妊娠していて1ヵ月も働かないうちに、職場を離脱し、さらに産休制度などはフルに利用するという問題です。

 これは、妊娠している側にとっては、当然の権利で問題はないと思います。さらに、事例のように議員の発言をマタハラと騒いで弁護してくれるマスコミもいます。しかしながら、他人に迷惑をかけてまで出産するって気持ちの良いものでしょうか。

 世の中には「信義則」というものがあります。信義則とは、「社会共同生活において、権利の行使や義務の履行は、互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないとする法理」と辞書には載っています。つまり、個人の権利や義務の前に存在しているのが、信義則なのです。

 確かに、産休を取る権利はあります。それが、長年同じ職場で勤めていて、結婚し、妊娠もした。その方が産休を申し出てきたら、使用者側も喜んで、協力するでしょう。しかし、事例のようにどこかの組織の産休制度を利用するために就職をしたというのは、信義則に欠ける制度の悪用だと思います。

 そして、ここからが大切なのですが、信義則に欠ける行動をしていると、恐ろしいことに必ずそのような人は社会から追い出されてしまいます。

 この春、新社会人になったみなさまは、自分が損をしても「信義則」を念頭にすべての行動を心がけてください。信義則を欠いた行動は、その人の信頼を失わせます。信頼を失った人は、社会の中で生きづらくなります。そういう意味では、信義則にのっとった行動は長い目でみると最も得をする生き方なのだと思います。

2018.04.13