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改定される保育所保育指針からわかる事

改定される保育所保育指針からわかる事

 保育所保育指針が約10年ぶりに改定され、2018年(平成30年)4月に施行されます。新しい保育所保育指針の内容を見てみると、事故防止及び安全対策に関する記述が以前の保育所保育指針に比べ大幅に増えています。保育・認定こども園業界に対する世間の関心が、幼児教育無償化や待機児童の解消に集まっているなか、保育所保育指針は事故防止及び安全対策に関する記述を増やすことで、「保育の質」つまり「保育の安全」の大切を各園に訴えているように私は感じます。

 さて、保育所保育指針は厚生労働省が担当しているものですが、保育所保育指針の中の安全に対する記述の中に「事故防止の取り組みを行う際には、特に睡眠中、プール・水遊び中、食事中等の場面で重大事故が発生しやすいことを踏まえ、~省略~必要な対策を講じること。」という記述があります。この記述とほぼ同じ内容が、平成28

年に内閣府から公表されたガイドラインに存在します。むしろ、保育所保育指針の内容をより具体的に記載したものがガイドラインです。保育所保育指針とガイドラインに同一の内容が記載されているのは偶然ではなく必然だとおもいます。厚生労働省や内閣府という垣根を越えて、国家という単位で保育現場に求める安全の基準を統一することで、保育現場に国が考えている安全の基準を確実に浸透させようとしているのではないでしょうか。そして、国が保育現場に確実に浸透させようとしている安全の基準は繰り返し起きてきた同じような死亡事故を防ぐための基準となっています。

 保育所保育指針の改定により、国が考えている保育現場の安全が何なのかということがより明確になったとおもいます。国が考えている安全の基準であるガイドラインをこの機会に、今一度確認していただきたいとおもいます。知らないではすまされない保育現場に求められている安全の基準なのですから。

2018.01.31