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保育・教育のリスクマネジメント

保育・教育のリスクマネジメント

 「リスクマネジメントは人の意識や能力に頼るべきではないのではないでしょうか?」。という質問を、先日の研修会場で受けました。この質問は、とても良い質問なので、今回のブログを通じてみなさまと問題意識を共有していきたいと思います。

 人は必ずミスをする。それならば、リスクマネジメントにおいては、人のミスが生じてもいいように、予め人の意識や能力に頼らない制度・仕組みを作っておくべきだ、というヒューマンエラーという考え方があります。このヒューマンエラーという考え方に基づいて、フールプルーフ化するというリスクマネジメントが存在します。

 実際に、リスクマネジメントをフールプルーフ化している産業・業務も存在します。例えば、医療の世界で、危険な薬剤には薬品名のみならず、色分けして特定のマークを付けて保存するというのもフールプルーフ化の一つです。薬剤を色分けして特定のマークをつけるのは、個人が薬剤名を読んで危険な薬剤かどうかを判断するのではなく、色やマークを見ただけで危険な薬剤かどうかを判断できるようにするためです。保育・教育の現場でもアレルギーの園児の器や食材の切り方を、他の園児と見た目から違うものに変えるというリスクマネジメントは、フールプルーフ化の一つです。

 しかし、保育・教育の現場においてすべての業務をフールプルーフ化することはできません。むしろ、フールプルーフ化できることの方が少ないと思います。なぜならば、保育・教育というものは、園児の行動・様子により優先順位が刻々と変化していくものです。そして、変化する優先順位に対応して適切な判断を現場の先生がしなければならないからです。そのため、保育・教育はフールプルーフ化に馴染まないのです。

 保育・教育におけるリスクマネジメントは、先生方の意識や能力に頼らざるを得ません。この意識や能力は、園や現場の先生の日々の努力の積み重ねで高めていくしかありません。当然、私たちアイギスもみなさまのお手伝いをいたします。お困りのこと、不安なことなどがございましたら、ご遠慮なさらずにすぐにアイギスにご相談してください。これからも園の安全を守るために手を取りあっていきましょう。

2017.10.25