事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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最近気になること

どちらのリスクをとりますか?

どちらのリスクをとりますか?

 最近もっとも多い職員の方に関する相談は、「こういう職員を辞めさせたいが辞めさせることはできるのでしょうか?」という内容です。人材確保が難しい中、やっと雇うことのできた職員さんが色々と問題がある。そんな経験はみなさんにないでしょうか?みなさんがどんな職員さんに困っているのかというと、基本的には当たり前のことが当たり前にできないことです。例えば、業務上知り得た情報を保護者に言いふらす、他の職員との意思疎通ができない、単純作業ができない、遅刻しても申し訳ないと思っていない、言葉遣いがおかしい、挨拶ができない、指摘されても自分の悪いところが理解できない等。

 これは一例ですが、結局このような人が組織の中にいると周りの人間が二倍働き、気を遣い、その人のことをフォローしなくてはならないため、疲弊していきます。組織の輪が乱れ、その人がいるがために他の職員さんが辞めようとしているというケースもあります。

 そこで園長先生は決断を迫られます。「不当解雇だ」と訴えられる可能性があるけど、上記のような職員さんを辞めさせるのか・・・。もしくは、そのまま問題のある職員さんを雇い続け、他の職員さんが辞めていくのを仕方ないことだと思うのか・・・。

 どちらのリスクをとるのか園長先生は迫られます。現在の労働基準法は、労働者が守られるような法律になっています。どんなにいい加減な人でも犯罪行為を行わない限り、上記のような理由だけで辞めさせようものなら、使用者が訴えられてしまう時代です。裁判にまで発展しないにしても、労基署にかけこまれ、労基署からの指導があるかもしれません。労働者から慰謝料を請求されるケースもあります。だから容易に辞めされることもできません。

 このように考えると人を雇い入れるということ自体がリスクですね。「こんな人だと思わなかった、指導に苦労するな・・・」など、これは多くの企業も同じように悩んでいる問題だと思います。  アイギスももちろん人材については悩みはつきませんが・・・。ただ、みなさまの業界は、他企業のように物やシステムなどを扱っているのではなく、生身の人間を育てていく場ですので、またちょっと違うのかもしれません。他企業であれば入れ替えれば済む話ですが、「先生」をすぐ入れ替えるわけにもいかないと思います。この先生育てるの大変だなと思っても人材不足の中、育てていくしかないのかもしれません。ということは、今後は、より「人材育成力」を管理者がつけていかなくてはならないのかもしれません。

2017.09.11