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そろそろ「待機児童問題」という呼び方を変えるべき!?

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待機児童3年連続増2万6081人 定義見直し

 厚生労働省は1日、認可保育所などへの入所を希望しながら入れない「待機児童」が4月1日現在、前年同期比2528人増の2万6081人に上り、3年連続で増加したと発表した。

 入所申込者数が増えたことに加え、国が、自治体ごとにばらつきのあった待機児童の定義を見直して、「親が育児休業中でも保育所に入れれば、復職を望むケース」を待機児童に含めたことも影響した。

 一方、希望した認可保育所などに入れず、待機児童に数えられていない「隠れ待機児童」は同1870人増の6万9224人だった。

 認可保育施設や、自治体が独自に補助する保育所などを含めた保育の「受け皿」は昨年度、新たに約11万3000人分が拡充され、計約283万人分に上ったが、入所申込者数も約9万人増えて計約265万人となり、過去最多を更新した。需要の多い都市部で施設が不足している。(2017年9月1日 読売新聞)

 今年も待機児童は増え、3年連続になりました。たしかに、保育所に入れない児童の数をカウントし、それを待機児童とし、その数を解消するよう施策を展開していくことは重要なことだと思います。

 しかし、現在の日本は人口減少期に入り、出生率を少しでも上げるために保育所を整備する必要があるという見方もありますが、一方では、労働可能人口が減り、1億総活躍しなければ日本の枠組みが大きく変化してしまうので、労働力を確保するために保育所を整備するという見方の方が、しっくりくるのではないでしょうか。

 つまり、保育所整備は待機児童対策ではなく、労働可能人口確保対策と呼んだ方がいいのではないでしょうか。「待機児童数」ではなく、「潜在労働可能人口」として発表した方が現在の日本社会にはふさわしいと思います。

 今の潜在労働可能人口が、10%稼動したら、所得税はいくら増加し、社会保険料はいくら増加し、生活保護費はいくら減少します。という統計にした方がわかりやすいのではないでしょうか。

 最近また、保育所整備が頓挫しているというニュースを目にすることが多くなりました。保育所整備に反対する人たちは、少なくとも日本社会の現状を理解していないと思います。保育所整備は、子どもを預けて遊びたい保護者のためにしているわけでなく、子どもを預けて働く保護者のためにしているのです。

 子どもを預けて働く保護者は、税金を払い、社会保険料を払い、日本社会に貢献します。保育所に預けられる子どもは将来の日本を支える方々です。そのように考えると、保育所建設に反対する意味はないでしょう。

 人口減少期に入った日本社会では、過去にどれだけ貢献したかよりも、未来にどれだけ貢献できるかを優先して考えていくべきだと思います。「待機児童問題」から、「労働可能人口問題」に呼び方を改めるべきだと考えます。

 

2017.09.15