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兵庫県が立ち入り調査を行いました

兵庫県が立ち入り調査を行いました

こども園25カ所で基準違反

 兵庫県姫路市の認定こども園が、劣悪な環境で園児を受け入れていた問題を受け、県がすべての認定こども園を調査した結果、25施設で認可基準を満たしていなかったことがわかった。

 姫路市の認定こども園「わんずまざー保育園」は、定員を大幅に超える園児を受け入れていたことなどが明らかになり、今年4月に認定を取り消された。この問題を受け、兵庫県は、県内の400施設を対象に調査を実施。その結果、25施設で園児1人あたりの保育室の面積不足や、園児の定員超過などが確認された。

 待機児童を解消するため、市や町が施設の状況を確認しないまま、園児の受け入れを要請していたケースもあり、県は自治体側にも改善を求めた。井戸知事は調査結果について、「悪意があって、基準をオーバーしているものはなかった。今後、『わんずまざー保育園』のような事例が出てくる可能性はほとんどない」との認識を示した。県は、施設への指導や監査を強化し、再発防止に取り組むとしている。(2017年7月24日 ABC)

 いよいよ行政が認定こども園の運営状況の調査に乗り出しました。保育に関する行政の力配分は、入口に偏りがちです。施設に関しては、認可するまで。子どもを預けたい保護者に関しては、入所するまでに力を入れがちです。「待機児童問題の解消」という錦の御旗のもと、入口に力が入るのは当たり前のことだと思います。

 しかしながら、保育は入ってからの方が重要です。そんなことは、いうまでもありません。この調査結果を受けて知事が発言している「悪意があって基準をオーバーしているものはなかった」だから、今回の基準を違反している25施設という結果には問題がない。というものには、驚きました。

 制限速度60キロの道路を80キロで走っている車に対して、「悪意がなかったから、事故が起きる可能性はほとんどない」と言っているのと同じです。悪意があったか、なかったかは問題ではなく、基準が守られていたか、いなかったかで評価すべきです。

 今後、行政の指導や監査にも調査をどんどん実施していくべきだと思います。完全に利用者側が施設を選択できる状況が整うまで、どの保育施設を選択しても利用者が不利にならないように、行政がその役割をきっちりと果たすべきです。

 兵庫県も今回の調査で終わることなく、定期的に確認すべきだと思いますし、公私立の認可保育園、認可外の保育施設にも調査の範囲を拡大すべきだと思います。さらに、47都道府県すべてで行うべきですし、保育施設は行政の調査がいつきても、基準をクリアできている状態を維持すべきだと考えます。

2017.08.04