事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

園長先生の背中。

園長先生の背中。

 どこの保育園さんも保育士不足に悩まされているのかもしれません。せっかく採用しても言い方が悪いかもしれませんが、使い物にならない人材も中にはいて、困っている園長先生もいるようです。

 私の娘を預けている保育園でも今年の4月に入職した先生が6月には職員紹介の掲示写真から姿を消していました。そして、2人の先生が今月に入り長期療養に入りご迷惑をおかけしますと園だよりに書いてありました。株式会社が運営している保育園なのでグループ保育園からヘルプ保育士さんを入れて毎日対応しているようです。

 「大丈夫かな、この保育園。こんなに職員さんが定着しないで・・・」と思うところですが、私が一保護者として安心しているのは、この保育園は園長先生がしっかりしていることです。「どこでしっかりしていると感じるのか?だって園長先生って一番関わりが保護者と少ないのでは?」と思われるかもしれません。意外に私は、担任の先生より園長先生と話す場面のほうが多いのです。延長保育が終わるギリギリの時間にお迎えに行くことが多い私は、担任の先生とはシフトの関係上会うことはありません。

 しかし園長先生は基本的に毎日保育園が閉まるまで園にいるため、毎日言葉を交わします。そしてほぼ全園児のケガの状況や健康状態を把握していて、保育士さんがケガのことについて保護者に説明しているときに少し事実と違うことを話していたら、保育士さんよりも詳しくケガの状況を話していることを聞いたことがありました。そして、若い経験の少ない保育士さん(開園して3年目ということもあるかもしれません)ばかりということもあり、行事のときも園長先生が率先して引っ張っていってくれています。

「話をしても伝わらない保育士が多くて困っている。なんにしても加減がわからずに物を大切にしない保育士が増えているのよね」と悩んでいる他の園の園長先生の保育士さんに対する困りごとをご相談いただくこともあるのですが、やはり人に指示をして何かをやらせるときには、まず自分がやってみせるということが大切なのだと思います。

 太平洋戦争の連合艦隊司令長官だった山本五十六さんの有名な言葉があります。

 「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」そのままの言葉の意味ですが、まずは指示をする側が「こうやるんだよ、見ててね」とやってみせて、言って聞かせて、「じゃあ、今度は○○先生やってみてね」とさせてみて、「先生もできるね!」とほめてやらねば人は動きませんよということです。加減がわからないなら、加減がわかるようにやってみせて差しあげましょう。物を大切にしないなら、どのように大切に扱っていけばいいのか教えて差しあげましょう。

 それを実践しているのが、私の娘を預けている保育園の園長先生だと思います。だから保育士さんが若くて経験がなくてもこの園長先生が引っ張っていってくれるなら安心だと保護者からも思ってもらえるのかもしれません。

2017.06.12