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最近気になること

業者選定にもリスクは潜んでいます

業者選定にもリスクは潜んでいます

豊田の業者破産 一部の保育園の給食中止へ

 愛知県豊田市の給食調理業者が、破産手続きに入るため、市内14の保育園や幼稚園が、23日から給食を中止することになった。

 豊田市は、22日午前11時半から会見を開き、市内にある保育園や幼稚園のうち14の園で、23日から、給食を中止すると発表した。

 これは豊田市が、今年度給食調理を委託業務した業者のひとつ、「豊田食品」が破産手続きに入り、23日以降、調理を取りやめるため。給食の中止は、3週間ほど続く見込みで、豊田市は、「牛乳やごはんは、市で用意する」と説明しているが、「おかずは、弁当で持たせて欲しい」と話している。(2017年5月22日 CBCテレビ)

中国産ゴボウを「国産」と偽装で逮捕

 中国などから安く輸入したゴボウを国産と偽って保育園の給食用に卸していた疑いで、食品販売会社の社員や2人が警視庁に逮捕された。

 給食食材卸売会社の容疑者2人は、中国や台湾から安く輸入したゴボウを、青森・十和田産と産地表示を偽って、保育園の給食用に卸していた疑いが持たれている。

 2人は、国産のゴボウの値段が高騰したことを受けて、産地を偽ることを思いつき、2年4カ月にわたり、東京都内を中心とした、およそ300の保育園にゴボウを卸していたという。調べに対し、容疑者らは容疑を否認している。(2017年5月25日 ホウドウキョク)

 本日のブログのテーマは、業者選定に関わるリスクです。2つの事例は、選定した業者が破産したり、産地偽装したりして、間接的に迷惑を保育事業者や行政が被ったというものです。

 業者選定には、選定理由が必ず必要です。2つの事例のケースでも、選定理由があるはずです。それらの理由が選定先でトラブルが発生した場合に、自分たちを守ってくれるものか、どうかが重要になります。

 今回のケースのような破産の場合、企業はいきなり破産はしません。徐々に資金繰りが苦しくなって、破産という選択をするというイメージが正しいと思います。ということは、給食調理事業者が豊田市に「資金繰りが苦しくなり、万が一という選択もありえる」ということを事前に伝えていれば、給食停止という事態は避けられたでしょう。

 今回の原因は、給食調理事業者が事前通達しなかったという倫理観の欠如と、行政の委託先事業者の信用管理の甘さにあります。

 保育業界には、さまざまなコンサルティング会社が存在します。われわれの会社も分類上は、コンサルティング業界に所属いたします。私が自ら言うのもおかしいのですが、コンサルティング業界というと、悪徳業者というイメージも存在すると思います。

 コンサルタントという意味を辞書で引くと、「ある分野についての経験や知識を持ち、顧客の相談にのって、指導や助言を行う専門家」と出てきます。コンサルタントの存在をうまく利用し、使いこなせれば、事業者にとっても通常では得られない成果を手に入れることもできます。

 しかし、コンサルタントに事業者が使われると、お金だけがなくなり、組織も最悪の場合、壊れてしまう。ということもありますし、その方が多いのではないでしょうか。

 私が知っている事例でも、「実は、渡された名刺の住所にコンサルタント事務所はなかった」とか、「法人名義で融資を受けさせ、その大半をコンサル料と称し、持ち逃げした」とか、「法人自体を乗っ取られた」とかいうものがあり、その相談がアイギスにも寄せられています。

 自己防衛のためにも、①自分が理解できないことには、お金を払わない。②信用できない人物には仕事を任せない。③HPを鵜呑みにしないで、実態を確認する。ということに注意してください。

 委託先のトラブルでも、園のイメージは傷つきます。万が一のときに説明できるような契約を結び、契約締結後にも完全に信用するようなことは避けましょう。

2017.06.09