事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

最近気になること

やはり保育の質は行政の質です。

やはり保育の質は行政の質です。

森友系列保育園 7月1日に事業停止命令

 学校法人森友学園系列の社会福祉法人が運営する認可保育園高等森友学園が配置基準を満たす人数の保育士を確保できていない問題で、大阪市は11日、淀川区役所で2回目となる保護者説明会を開いた。7月1日付で事実上の休園にあたる事業停止命令を出す方針を説明。

 市は説明会で、0~5歳の園児42人の転園先として、淀川区と西淀川区で7カ所計91人の入所枠を確保できたことを報告。転園希望を6月5日まで募り、7月1日から優先的に入所できるよう調整することも伝えた。

 同園は常勤保育士が6人必要だが、現在勤務できるのは非常勤3人のみ。市は4月末に児童福祉法に基づく改善命令を出し、今月10日までに人員を確保するよう指示したが、園側から具体的な改善策は示されなかった。

 このため市は今月下旬に園側の弁明を聴取。今月と来月に児童福祉審議会を2回開いて識者の意見を聞いた上で、事実上の休園にあたる事業停止命令を7月1日付で出す方針。(2017年5月11日 産経新聞)

姫路市 こども園問題 市が2年間 施設監査怠る

 兵庫県姫路市の私立「わんずまざー保育園」の不適切保育問題で、国が「原則年1回以上」と通知する施設監査を同市が約2年間怠っていたことが6日までにわかった。同市は「監査をする人的余裕がなかった」と説明している。(神戸新聞 2017年4月7日)

 私の記憶が確かであれば、保育が新制度に移る前の議論の中に、保育業界に株式会社などを積極的に新規参入させることに伴い、撤退リスクをどのようにコントロールするのかということがあったと思います。

 保育業界の門を開いたとしても、それをビジネスチャンスだと捕らえ、簡単な考えや気持ちで参入し、思ったものとは異なったので、撤退することにしたということが相次いでも困る。参入するには、それなりに覚悟を決め、退路を自ら断って参入してもらいたい。ということを基本原則にしたいという議論があったと記憶しています。

 しかしながら、新制度が始まってから保育施設が撤退しているのは、行政の監査が適切に機能していないことが原因のように私には見えるのです。

 姫路市の場合は、指摘する必要もないくらいの行政の体たらくですが、大阪市の場合も市の指導監査が適切に行われており、それが機能していたのか疑問です。さらに、森友学園本体の問題が出てきていなくても、この時期に職員が不足していることが発見できたのかどうかは、はなはだ疑問です。

 やはり、保育制度自体が行政の管理下に行われている以上、保育現場の質は行政の質なのではないでしょうか。それだけ保育の質は行政の指導監査の質に左右されると言っても過言ではないのです。

2017.05.12