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保育の質は、行政の質

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姫路こども園定員超過 姫路市が2年間監査せず

 兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」が定員を超過した園児を受け入れるなどして認定を取り消された問題で、姫路市が「原則年1回以上」と定められた監査を約2年間行っていなかったことが7日、市への取材で分かった。市は「他の施設の監査と重なり、人的な余裕がなかった」としている。

 国は認可外保育施設から移行した認定こども園について、原則年1回以上、職員数や定員などの監査を実施するよう通知。同園は平成27年3月に移行し、平成28年1月には不正を指摘する情報提供もあったが、市は今年2月2日まで一度も監査していなかった。同日の監査で不審な点があったため、市は同23日と3月13日、県と抜き打ちの特別監査を実施。給食の過少提供などの問題が発覚した。(産経新聞 2017年4月7日)

 先日、厚労省は、平成28年4月1日の待機児童に関して、年度途中である10月1日時点での状況をまとめ、公表しました。平成28年4月の待機児童数は23,553人。10月時点では24,185人増加し、47,738人となることがわかりました。

 このような状況の中で、施設を増やすことは、待機児童を抱える自治体にとっては、最優先課題の1つでしょう。ただ、今回の姫路の事例では、施設を増やした後の監査が機能しておらず、不正の発見が遅れています。

 各自治体の保育課は、ギリギリの人数でやっていることが多いみたいです。正確に言うと、職員の人数が少ないのではなく、仕事が多すぎるのです。

 姫路市のケースは、今後、待機児童を抱えるすべての自治体で起こりうる可能性があります。施設運営者の倫理観の向上と、行政の工夫、そして利用者の自己防衛能力の成長がなければ、保育施設の質は向上しないのではないでしょうか。

2017.04.14