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保護者が保育園にクレームを言う勇気。

保護者が保育園にクレームを言う勇気。

 アイギスでは、保護者からクレームを言われて困っている保育園のみなさまのお話を聞き、アドバイスを行ってきました。私も子どもを保育園に預ける育児中の母親の1人です。仕事柄、保育園のいろんなところ(保育士の服装や声かけや配布されるお手紙、掲示される張り紙、行事等)が気になり目にとまります。これは職業病といっていいと思います。保育園で働くみなさんがどれだけ頑張っておられるか、子どもを預かってもらえているからこそ仕事ができると毎日感謝しております。

 しかし、先日子どもを保育園に預けるときに衝撃的な現場を目撃してしまいました。1歳児クラスの朝のおやつの時間のことでした。子どもたちが椅子に座りおやつを食べているテーブルの上に、保育士さんが立ったままお手拭タオルを上から投げ落としていました。居酒屋で座敷に座っているお客様のテーブルに腰をおろさずに店員さんが立ったまま上からおしぼりを投げ落としていたら、お客様は不快な思いをして怒り出すと思います。

 1歳児は、先生が異常なことをしていると認識できません。だから、先生がしていることをおかしいとも思わず、上からお手拭タオルが落ちてくることにビクッとしながらおやつを食べていました。そのときは、園児16人に対して保育士さんが2人しかいませんでした。いつも3人配置されていました。その時は、人手も足りず余裕がなかったのかもしれません。先生は、私が保育室に入ってきても無意識だったのでしょう、お手拭タオルを上から投げ落としていました。

 入園4日目から泣かずに保育園に行くようになった娘が、今では保育室に入るときには保育士さんに笑顔で飛びついていっています。そんな娘の姿を見て、安心して保育園に預けていた分、ひょっとしたら毎日こんなふうな扱いを子どもたちはされていたのかもしれないとショックを受けてしまいました。

 クラス主任の先生に今日見たことを伝えるべきかどうか悩みました。クレームをつけてくるやっかいな保護者だと思われやしないか、娘が先生に色眼鏡で見られるようになるのではないか・・・・などいろんな思いがこみ上げました。弊社の代表に相談をすると「笑い話のように軽い感じで保育士さんが重く受け止めすぎない程度に伝えたほうがいい」とアドバイスを受けました。そして、その日保育園に娘をお迎えに行った際に、クラス主任の先生に伝えました。「すみません、ご心配おかけしました」とクラス主任の先生は言っていました。次の日、「〇〇先生には伝え改善させました」などという回答があるのかと思いきや、何もなくそのまま私が伝えことは、改善されたのかわからないまま終わってしまいました。

 勇気をだしてドキドキしながらクラス主任の先生に伝えたことがうやむやにされた気がして、もやもやな気持ちだけが残ってしまいました。これこそがクレームのメカニズムだと思います。

 自分の欲求のまま、クーレムを保育園につけ、園を困らせる保護者も多いことは確かですが、勇気を振り絞ってクレームを言ってくる保護者も少なくはありません。

 このようなちょっとしたことの積み重ねで保護者との信頼関係が築き上げられたり、崩れていったりするものだと思います。

2017.02.20