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行政の監査が活躍し始めています。

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SIDS対策 園児死亡なら職員にかん口令 愛媛の保育園

 愛媛県の東予地区にある社会福祉法人の運営する保育園が、乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策マニュアルの中で、園児の死亡事故が起きた場合は職員へかん口令を敷くようにしていたことが、県の監査で分かった。また、東予地区の二つの社会福祉法人の運営する高齢者介護施設では、入所者の死亡事故を県条例通り適切に報告していなかったことも判明。県はいずれについても改善を求めて指導した。

 毎日新聞の情報公開請求に県が開示した監査に関する文書によると、社会福祉法人が運営する東予地区の保育園で使われているSIDSマニュアルには、園児が死亡する事故が起きた際の職員の対応として、「(死亡事故についての)発言を一切控える(かん口令)」と記載されていた。

 県は「組織的に情報発信を止めるのではなく、透明性の確保のため正確な情報発信に努める」ことを求め、マニュアルは不適切として改善を求めた。

 県の文書によると、県は2016年4月~10月、中核市の松山市にある施設を除く県内100の社会福祉法人に定期監査を実施。事故に至らなかったものの、あと少しで事故になっていた「ヒヤリハット」の事案を報告書にきちんとまとめていなかった施設もあり、指導した。「事故に至るリスクを把握して事故を未然に防ぐため、ヒヤリハットを拾い上げる職員の意識向上を図ること」を求めた。(2017年1月11日 毎日新聞)

 保育施設の安全に関するガイドラインや通達は、官公庁から数多く出されます。これらに書かれている内容に施設は従わなければなりません。

 これまでは、通達に従っていなかったとしても、それが発見されるのは事故が起きた後でした。まさしく「あとの祭り」です。本来ならば、通達を出した側(行政)が施設側がその内容に従って、対応しているか確認しなければなりません。

 それが今回の事例では行政は事故が発生する前に点検し、適切でない点を指摘しています。これはすごい進化だと思います。今後は、事故の前に保育施設の安全対策が監査の対象となり、厳しく指導されるようになると考えられます。もちろん、それを行政が怠った場合には、事故の有無に関わらず、行政にも厳しいペナルティを課すような仕組みも導入していただきたいものです。

2017.01.27