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東日本大震災の教訓

東日本大震災の教訓

東日本大震災の余震で津波1.4メートル

 22日午前5時59分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.4の地震があり、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱を観測した。仙台市に140センチ、福島県の東京電力福島第1、第2原発にそれぞれ100センチの津波が到達した。気象庁によると、東日本大震災の余震とみられ、140センチの津波観測は大震災以降最大。総務省消防庁は宮城、福島、千葉各県と東京都で計17人が負傷し、うち3人が重傷と発表した。(2016年11月23日 スポーツ報知)

 2011年に起きた東日本大震災後、最大の津波が来ました。避難を呼びかけるNHKのテロップには、「津波!避難!」「つなみ!にげて!」「すぐ避難を!」「すぐにげて!」などと様々な文言で、視聴者に危険を訴えていました。アナウンサーの口調も「東日本大震災を思い出してください」などと強く語りかけていました。このような変化は、震災の経験が活かされた良い教訓だと思います。

 一方で、地震直後、ライトをつけた車が長く連なる渋滞写真が、ツイッター上に次々とアップされました。これは、まったく震災の経験が活かされず、教訓になっていません。

 「避難は徒歩が原則」とは、われわれは考えていません。車が混んでいない状況であれば、車での避難が効率的かつ有効だと思いますが、車の渋滞が始まっていれば、徒歩や自転車を使用することが有効でしょう。つまり、状況判断をして、避難行動を決める思考の訓練を普段からしておかなければならないのです。

 また、地震から一夜明けたホームセンターには、災害備蓄品を求める人が相次ぎ品切れ店舗が続出したそうです。地震が身近に起きたら、災害備蓄品を買う。地震の後に、地震保険に加入する人が増える。これらの行動は矛盾していると思いませんか。まったく、地震の経験が教訓として生きていません。

 災害対策とは、いつ自分が被災したとしても困らないように準備しておくことです。自然災害の悲惨さを学ぶには、おびただしい数の犠牲者が出る災害が起きなければなりません。災害で犠牲者になった方に報いるためにも、残された人間が一刻も早く学ぶことが必要だと思います。

2016.11.25