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女性(保育士)の危機管理

女性(保育士)の危機管理

 危機対応サービスを開始して、早8年が経ちました・・・・と先日ブログで書きましたが、本当にこの8年の間に「え?そんなこと園で起きたの?」という相談が寄せられるようになり、最近では突飛な相談にも随分慣れてきました。しかし、時代とともに「相談内容=園の困りごと」も進化していくので油断禁物ですね。そして、園で働くほとんどの職員さんが女性です。ということは、保育士である前に女性としての危機管理も身につけておかなければならないと、この8年間全国の園の方々の相談を聞いていく中でそのように思いました。

女性としての危機管理が必要だと思った案件

・退勤後、同僚保育士と停車中の車内でお喋りをしていたら前から男性が走ってきて、車のドアを開けられそうになり、鍵を閉めて逃げた

・降園時に園児のお父さんに抱きつかれそうになったり、連絡先を聞かれたりして困っている

・通勤途中の電車の中で知らない男性からいつも見つめられ、必ず同じ駅で降りてきて、自分の後をつけてくる

・交際相手がストーカーになり、会いたいと職場である園にまで電話がかかってきて、園の前で待ち伏せされるようになった

 上記のような事象が起こると、「大変だ、怖いな、誰か助けて」と女性は思うのだと思いますが、上記のような事象が想定できていない時点でアウトだと私は思います。上記のようなことが自分の身に起きるかもしれないんだと想定して事前に回避や対策を講じておくことが女性の危機管理です。

 これは保育士さんに限らず、世の中の「女性の危機意識」が著しく低下しているのだと思います。最近目にしたニュースで「埼玉の大学1年の女子生徒が深夜歩いて帰宅途中に後ろから突然男に頭をハンマーで殴られ、バックを盗られた」という記事を読みました。深夜とは、午前1時30分でした。午前1時30分に女性が一人で歩いていたら、襲われてもしかたがないだろうと周りから思われるでしょう。

 今年話題になったポケモンGOをしながら歩いていたら、目の前に裸の男性が立っていて、追いかけられたという記事も気をつけていない自分が悪いだろうと周りから思われるでしょう。こんなことをしていたら、こんな意識なら危ない目にあってもしかたないだろうと周りは感じると思います。ですが被害に遭った、もしくは被害に遭いそうになった女性はそのようには思わなかったのです。日本は特に平和ボケが進んでいると思いますが、事件やトラブルや災害に巻き込まれたときに女性は一瞬にして弱者の立場になります。だからこそ自分の身は自分で守らなくてはなりません。自分の危機管理ができないで子どもたちを守ることなど到底できません。

 イヤホンをつけて音楽を聴き、外部の音を遮断し、スマホを見て、周りを見ないで通勤している保育士さんはいませんか?通勤以外にもプライベートでもそのようなことをしていたら、危機管理的にもアウトですし、社会人としても大変恥ずかしい姿です。危機管理ができていない女性は隙だらけです。だからこそ、冒頭でご紹介した「女性としての危機管理が必要だと思った案件」のようなことが起こるのです。起した相手だけに非があるのではなく、被害に遭った、または遭いそうになった自分自身にも危機管理ができていないという非があるのだと思います。

 ちなみ私は小学生の頃からしょっちゅう今で言う不審者に声をかけられていました。小学生ながらに「自分はこのままだと変な人に誘拐されたりするかもしれない、道を歩くときは気をつけなくちゃ、知らない人に声をかけられたら逃げよう」など子どもながらに危機意識が高まっていきました。高校生になってからも不審者に声をかけられるということは変わらず続きましたが、幼いときからの危機意識のおかげで、今現在、大きなトラブルに巻き込まれたことがありません。社会人になり一人暮らしを始めたら、常に誰かに襲われるかもしれない、刺されるかもしれない、そんな世の中だから一人で歩くときは気をつけないといけないと思い、夜道は避け、避けらないときは人気のないところを歩かなければならないときは、猛ダッシュします。

 家に近づくころには鍵を握り締め、すぐにオートロックを開け、エレベーターに乗るときもエレベーターにすぐ乗り込み、玄関の前に着いたらあたりを確認し、サッと鍵を開け、一人暮らしでも「ただいま!」と声を出し、家に入るようにしていました。そこまでやっても何か危険な目に遭うかもしれないのです。

 ですが、危機意識があるのとないのでは「何か危険な目に遭うリスク」のパーセンテージは変わってくると思います。そして危機意識を持っていればいざ何かトラブルに巻き込まれても対策を講じることができると思います。対策を講じるのに余裕があるときと、一瞬にして対策を講じなければならないこともあると思います、自分のことならダメージも自分だけのなのでいいでしょう。ですが、みなさんは大切な園児さんたちも守らなくてはいけません。何かが起こったときに対策を講じる余裕なく動かなくてはならないことがほとんどだと思います。そのときに日ごろの自分の危機管理が発揮されるのです。

2016.10.03