事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故

公立神話の崩壊か・・・?

公立神話の崩壊か・・・?

①保育士が女児にわいせつ行為

 岐阜県多治見市の市立保育園に勤める保育士の男(27)が園児にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの疑いで逮捕されたことについて、同市は16日、「保育の現場でこのような事件がおきたことは誠に遺憾」とコメントしました。(中京テレビ 2018年8月16日)

②保育園児やけど 給食スープが首や腕などにかかる

 愛知県知多市の市立保育園で先月、園児が給食でやけどを負ったにもかかわらず、市は公表していませんでした。

 知多市によると7月18日、市立保育園で女児(1歳8カ月)が給食を運ぶワゴンの上の鍋に手をのばし、スープが首や腕などにかかりました。女児はやけどをし1週間入院しましたが、知多市は事故をすぐに公表しませんでした。(中京テレビ 2018年8月7日)

 今週の事例は、どちらも公立保育園で起きたトラブルです。私どもの会社には、指定管理者制度で公立保育園を私立の運営者が運営を換わるときのトラブルに関する相談もしばしば受けます。

 その場合、保護者の方々には、公立保育園に対する絶大なる信頼があり、それが原因となり、新たに運営を換わる社会福祉法人や株式会社に対する不信につながっているというパターンが多く存在します。

 たしかに、運営者が変わるということに対する不安は理解できます。それは、誰しもあるものだと思います。しかしながら、公立は優れていて、民間は劣っているという価値判断は、保育の世界では少なくとも通用しないでしょう。

 その根拠となりうる事例が今回の2つの事例です。1つは、男性保育士の園児に対する性的虐待。1つは、事故の隠蔽。どちらも珍しいものではありませんし、前例も掃いて捨てるほどあります。

 つまり、この2つの事例は、前例があるのにも関わらず、防止できなかったものなのです。さらに、2つの事例は、どちらも人間が意図的に引き起こすものなので、防止することは100%可能です。

 事故やトラブルへの対応が良いか、悪いかは公立か民間かで決まるものなのではなく、個別の施設によって決まるものです。したがって、施設自体の良し悪しを見極める目を利用者(保護者)が養わなければなりません。

 そのためにも、まずは、保育施設の中に興味を持って、接することが必要なのではないでしょうか。あら探しをするのではなく、育児の協力者(パートナー)として、どうなのか。という視点を持つことが大切だと思います。

2018.08.24