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熱中症も同じパターンで繰り返される

熱中症も同じパターンで繰り返される

練習ミス 罰マラソンで中2男子が熱中症 大津

 大津市教委は、市立中学校のソフトテニス部に所属する2年生の男子生徒(14)が今月12日に、練習ミスの罰として「校舎外周を80周走れ」と顧問の男性教諭(31)から指示され、途中で倒れて救急搬送されたと14日、発表した。生徒は熱中症と診断され、現在は快方に向かっている。市教委は「生死に関わる許されない行為。申し訳ない」としている。

 彦根地方気象台によると、大津市の12日午後4時の気温は30.1度だった。(毎日新聞 2018年7月14日)

 この事故を見て、またか...と思うとともに、本当に学校現場で働いている人たちも学習しない人たちだと思いました。

 2009年に大分県竹田市の県立高校で剣道部の練習中に17歳の生徒が熱中症で倒れて死亡した事故で、福岡高裁は、元顧問に「重過失があった」として100万円を請求するよう県に命じた一審判決を支持し、県側の控訴を2017年に棄却しています。

 これにより、公務員であった元顧問は、個人的に100万円の損害賠償義務を負ったということになります。その根拠は、元顧問の指導が重過失にあたると裁判所が判断したことによります。

 重過失とは、過失ではあるけれども、ほぼ故意に近いということです。つまり、気温が高い中での生徒に対する指導は、常に熱中症の可能性を考えた上でしなければならないということです。

 そういう判例が昨年、裁判所から出ているのにも関わらず、大津市で今回のようなことがまた起こっているのです。しかも、大津市の市長は弁護士です。弁護士なのに、判決内容すら、市内の小中学校に徹底できていないのです。

 これは、保育園や幼稚園にも関係する事故です。保育の中でも、気温が高い日は園児に対して、常に熱中症リスクを頭に入れて、指導しなければならないということです。それができない場合、竹田市と同じように職員に重過失が求められることがありうるでしょう。

 今年の夏は、規格外の暑さが続いています。気を抜かずに熱中症対策してください。

2018.08.10