事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故

ようやく制度化に国が動き始めました

ようやく制度化に国が動き始めました

「子どもの死」検証を制度化へ 事故や虐待の経緯を集積

 厚生労働省は、事故や虐待などによる子どもの死亡事例を幅広く検証し、再発防止につなげる制度を導入する方針を固めた。「Child Death Review(チャイルドデスレビュー、CDR)と呼ばれ、死亡に至った経緯を詳細にデータ化するのが特徴。虐待死や保育現場での事故死など痛ましいケースが後を絶たないためで、2020年までに具体的な制度設計を終え、導入したい考え。

 CDRは米国や英国などで制度化されている。事故や虐待、病気や自殺などで亡くなった子どもについて、死亡の経緯だけでなく、生活背景や治療状況、育児の実態などをデータ化。医師や警察、児童福祉関係者ら有識者が共有して原因を検証する。どうすれば防げていたかを分析し、再発防止策に生かす。

 日本でも、虐待死や生活用品による事故などを個別に検証する仕組みはある。だが、捜査機関から提供される情報が限られるなど、広く死亡事例の詳細を共有し検証する制度はない。

 厚労省は10月にプロジェクトチームを立ち上げ、子どもの死亡事例の検証に取り組む小児科医らから現状の聞き取りを始めた。18年度中に運営指針や法整備の調査研究をまとめる。その後、20年度までに具体的なデータ登録や検証方法などを決める方針。

 子どもの対象年齢はまだ決まっていないが、日本小児科学会は18歳未満を提言している。厚労省によると、16年の18歳未満の死者は4035人だった。同年中の保育施設での事故死は13人で、15年度に虐待で亡くなった子どもは84人いた。

 CDRについては、同学会などが長年必要性を指摘。5月に衆院で児童福祉法改正案を可決する際には、付帯決議に「虐待死の防止に資するよう、あらゆる子どもの死亡事例について死因を究明するCDR制度の導入を検討すること」と盛り込まれた。(2017年11月10日 朝日新聞)

 安全は事故を分析して、抽出される成果物。というのが、私どもの会社の共通認識です。

 安全性を引き上げるためには、事故事例を集め、その原因や背景にあるものを分析し、再発防止策を講じることができるものに対しては、講じておくということが重要です。

 保育が新制度に移行してから、保育現場で起きた重大事故については、報告義務が課せられました。それらの事例については、原因分析、改善策の構築も義務付けられました。

 しかしながら、最近出された地方自治体への調査結果では、事故事例が集積されても、分析や改善策を講じる専門家は地方では、なかなか見つけづらく、難儀していると出ていました。

 今回のニュースでは、子どもの事故や虐待など死亡に関することは、一元管理し、分析する制度を構築するとなっています。これは、とても有意義なことです。

 保育施設でも、重大事故に限らず、小さな事故でも原因分析し、再発防止策を講じ、その効果を検証することは事故の発生確率を下げたり、事故のダメージを軽減したりすることにつながります。制度化される前にでも、各施設で取り組んでみてはいかがでしょうか。

2017.11.24