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事故

職員さんが働いている環境は安全ですか?

職員さんが働いている環境は安全ですか?

うつ伏せ寝で男児死亡 認可外保育の元施設長ら不起訴

 去年4月、大阪市淀川区の認可外保育施設で当時1歳2か月の男の子が死亡した事故で、業務上過失致死の疑いで書類送検されていた元施設長と保育士らについて大阪地検は嫌疑不十分で不起訴処分としました。

 去年4月、大阪市淀川区の認可外保育施設「たんぽぽの国」で当時1歳2か月の男児が、うつ伏せで昼寝中に心配停止の状態で発見されその後、死亡しました。

 死因は食べたものを吐いてのどに詰まらせたことによる窒息死で、警察は、元施設長と保育士らについて観察を怠ったなどとして業務上過失致死の疑いで書類送検していましたが、大阪地検は9月22日付けで元施設長らを「犯罪事実を認定するに足る証拠が十分でなかった」として不起訴処分にしました。(2017年9月26日 MBS)

 平成28年3月31日に内閣府が発布したガイドラインは、重大事故の防止を事故発生防止の要にすえています。この中に記されている重大事故は、睡眠中、プール(水遊び)、誤嚥(食物)、誤嚥(異物、おもちゃ)、アレルギーという5つが記されています。

 これら5つの記載順位は、過去の事故発生件数の多さで並べたと推察されます。つまり、死亡事故発生確率の高い順に並んでいるわけです。保育施設の死亡事故発生原因トップ2は、睡眠中とプールです。

 今回の事例のように睡眠中の事故は、警察の捜査が入り、書類送検されたとしても起訴、裁判、有罪となるケースは、ほとんどありません。うつぶせ寝の状態だとしても、有罪判決はありません。

 一方、プールの監視は、事故発生後、警察の捜査が入り、書類送検され、起訴、裁判、有罪となるケースが多々あります。しかも、現場の職員は有罪、園長は無罪というのが、過去の判例です。

 こういったことを園の運営者や現場責任者は、しっかり勉強して、現場の安全管理水準をいつも保てるようにしておかなければなりません。それは、お預かりした子どもに安全を提供するだけでなく、そこで働く職員が安心して働けるためにも必要不可欠なことです。

 今、保育現場は、人手不足にあえいでいます。保育士資格保有者が保育現場で働かない理由は、従来の給料が安い、休暇が取りづらいといったものに加えて、急上昇しているのが、「責任が重い」「事故が起きたときの対策が十分ではない」といったものです。

 保育施設の運営者には、今、職員さんが安心して働ける保育現場を整備することが早急に求められているのではないでしょうか。

2017.09.27