事故・トラブル最前線

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事故

あっても、なくても問題になります。

あっても、なくても問題になります。

O157女児死亡 露出販売に指針策定へ 群馬県が緊急連絡会議

 埼玉、群馬両県の系列惣菜店の商品を食べた客が腸管出血性大腸菌O157に感染、前橋市の「でりしゃす六供店」の惣菜を食べた女児(3)が死亡した問題で、県は15日、県内の主要保健所などを集めた緊急連絡会議を開催、今回のような露出販売での衛生管理の指針を新たに策定することを決めた。各保健所と協力し、1カ月以内の策定を目指す。

 8月23日に同店の立ち入り調査を行った前橋市は30日の会見で、同店にマニュアルが「なかった」とした。ところが、その後の調査で「印刷しファイリングされたものを紛失していた」と修正。店側は「パソコンにはデータとして入っている」としている。

 8月23日の調査の際、同店は店長も立ち会ったにも関わらず印刷されたマニュアルを提出できなかった。このため「なかった」としたが、他店舗にはあったことから、同店が紛失したと修正した。

 マニュアルは厚さ約1センチで食品衛生、食材の保管やレシピのほか、O157やサルモネラ菌などを防止する殺菌方法も記載されているという。

 同店や系列店を経営するフレッシュコーポレーション(太田市)担当者は「六供店では業務中に見られる状態になかった。簡単な作業手順を書いた紙を壁に貼ったりもしていたが、不十分と言われても仕方ない」と話した。

 同社によると、入店する従業員には、「衛生管理マニュアル」「調理手順マニュアル」などを必ず読ませるという。六供店で励行されていたかどうか、市は確認できていないという。(2017年9月16日 産経新聞)

 事故が起きた後の調査で最も大切なことは、規程やマニュアルと現場の行動が一致していることです。

 今回の事例では、マニュアルがあるか、ないかの調査でスムーズに行っていないことから、マニュアルと現場の行動が一致していることを証明することは困難でしょう。

 現在の保育業界にも危機管理のマニュアル整備は、法的(平成26年内閣府令39号第32条)に義務付けられています。もちろん、ここでもマニュアル=現場の行動が求められます。

 事故発生後、マニュアルがなければ、「このご時勢に危機管理マニュアルも整備していないなんて、お話にならない」と一蹴され、マニュアルがあったとしても、その内容が適切であるか、現場はマニュアル通りにできていたのかが問われます。

 つまり、マニュアルはなくても、あっても問題になるのです。時代に沿った適切な内容のマニュアルを作成し、現場に周知徹底させ、日々、チェックを行う。ということが重要なのです。

2017.10.13