事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事故

一事は万事です。

保育園の扉の下敷き、2歳児けが 壊れたまま放置

 兵庫県西宮市の「夙川夢保育園」で、壊れたまま放置されていた保育室の扉(約20キロ)が倒れ、2歳の園児が下敷きになって顔などに軽傷を負ったことがわかった。頭を打っており、経過観察が必要という。市は保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」の理事長らに口頭で再発防止策などを指導した。

 法人によると、6日午前7時50分ごろ、通園する男児が保育室に入ろうと扉に触れた際、倒れた扉の下敷きになった。扉は木枠にガラスがはめ込まれた引き戸。昨年12月に外れかけたことがあり、保護者から「開きにくい」と指摘があった。今月4日にも園児3人が触った際に外れたという。

 法人の理事長らは6日夜にケガをした男児の自宅を訪れ、両親に謝罪。9日夜に保護者への説明会を開くという。法人は「安全管理、危機管理への意識が足りなかった。管理を徹底する」と話している。(朝日新聞 2017年2月9日)

 同法人では、1月30日、元理事長ら親族6人を31日付けで懲戒解雇すると発表しています。さらに、元理事長と妻の元理事の2人を業務上横領罪などで兵庫県警に刑事告訴する方針とのことです。

 これで法人の手続き上は、不正会計の問題が法人外に持ち出され、後は、専門機関の判断にゆだねられます。しかし、法人が運営する施設は休むわけにもいかず、理事会のメンバーが代わっても、保育を続けなければなりません。

 そういった中で、前理事長が使わなければならないところにつかわなかった設備修繕費のツケが回ってきたのが、今回の事故でしょう。

 法人の不正会計という問題は、現場に関係ないように見えて、密接に関係するのです。一事は万事。お金を管理できない組織に保育現場の安全が管理できるわけがありません。園児の安全よりも、お金の管理の方が簡単だからです。

 当たり前のことを当たり前に行うようにしておくことが危機管理の第一歩なのです。

2017.02.24