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これから保育士を目指す人たちへ

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プール女児死亡で保育園長ら書類送検 埼玉県警

 さいたま市緑区の保育園のプールで昨年、女児(当時4)が水死した事故で、埼玉県警は27日、業務上過失致死容疑で、園長の女性(68)と監視に当たっていた元保育士の女性(31)を書類送検した。

 2人は容疑を認めているという。

 送検容疑は2017年8月24日、プールで園児らが水遊びをしていた際、注意義務を怠り、女児を死なせた疑い。

 県警捜査1課によると、国の通知ではプールに複数の担当者を配置し、指導と監視など役割分担をさせる必要があったが、園では当日、実質的に元保育士の女性1人で監視していた。園長は「監視を怠らなければ1人でもよいと解釈してしまった」と話しているという。

 当日はプールの最終日で、元保育士は片付けのため、すべり台を取り外した際に約3分間、園児から目を離したという。女児はうつぶせの状態で浮いているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は溺水による低酸素脳症だった。(時事通信社 2018年8月27日)

 このニュースを見た保育現場で働いている人たちや、これから保育現場で働こうと考えている人たちは、事故が発生するたびに刑事罰に問われるような責任が重い割には、労働条件が見合っていない。と思ったのではないでしょうか。

 しかし、業界自体がブラックなわけではありません。保育業界の中にブラックな施設が存在しているだけなのです。

 事例の中の注目点は、埼玉県警の方が言っている「国の通知ではプールに複数の担当者を配置し、指導と監視など役割をさせる必要があった」という部分なのです。この部分は、2016年3月31日に内閣府より公布されたガイドラインに記載されています。つまり、ガイドライン通りの保育環境を整えている場合と、整えていない場合では責任の大きさが異なってくるわけです。

 これから保育士を目指す人たちへ。保育施設の中にはガイドライン通りに保育環境を整えている施設もあれば、整えていない施設もあります。ガイドラインの存在すら知らない施設も存在しています。

 せっかく保育士を目指したのですから、一度は働いてみてください。そのためにも、その施設で自分が安心・安全に働けるかどうかを見極めるようにしてください。保育士が安心・安全に働ける環境が整っていなければ、園児を安心・安全に預かることもできません。この機会に保育士が意識して、保育施設を選別することが重要だと思います。

2018.09.07