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事件

日大アメフト問題のシンプルな問題点

日大アメフト問題のシンプルな問題点

 5月6日に行われた日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボール定期戦で起きた危険タックルを巡る事件。加害を行った選手による22日の記者会見、それを受けた23日の前監督、コーチによる会見を受け、事態が動いています。

 まず解説する前にいくつか情報を整理しておこうと思います。日本大学アメリカンフットボール部は、超名門のフットボール部だということ。よって、名選手を何人も輩出しています。だから、今の部だけの問題ではなく、名門部活の伝統を壊す一大事なのです。

 次に問題を大きい順に並べていきます。

 ①初期対応(謝罪と説明)が遅い

 ②加害選手に単独で会見をさせた

 ③前監督とコーチの会見での質問に対する答えがちぐはぐ

 ④日本大学には「危機管理学部」がある

 ひとつづつ解説してまいります。

 ①の初期対応が遅くなってしまったのは、事態の認識が甘いからです。事態の認識ができないのは、何が起こっているのかを理解していない。ということに加え、それがどのくらいの大きさなのか理解していない。という2つの要因があります。

 ②は、大学にとっては最悪のことで、会見した選手に世間の同情票が集まり、大学側には批判票が集まってしまいます。大学は選手を全力で守る姿勢を最大限見せなければならなかったのです。今後の大学運営に悪影響を及ぼさないためにもそうすべきでした。

 ③は、保育施設の保護者との話し合いでも起こりがちなのですが、質問に正確な答えを返すのは、普段からトレーニングしていないと困難です。みなさんの身の回りでも毎日、たくさんの会話があると思います。その中身を意識的に聞いてみてください。意外と質問に正しく答えているケースは少ないと思います。普段からトレーニングを心がけてください。

 ④は、私が個人的にもっとも問題視しているのですが、日本大学は人を育てる教育機関であり、その中でも危機管理について専門に教える学部がある。そういう教育機関で起きた問題に対し、今回のような対応をしていると、大学のイメージも学部のイメージも最悪のところまで転落してしまいます。

 現在の大学運営は、どこの大学も学生募集に四苦八苦しています。そういう状況下でいたずらに大学のイメージを傷つけてしまうのは、避けるべきだと思います。被害にあった選手には申し訳ないのですが、日本大学にとってはチャンスでもありました。

 問題の対応で、「さすが日本大学。危機管理学部がある大学の対応は違うな!」と思わせることができたら、この問題もこじれなかったし、大学も学部もイメージは上がることはなかったとしても、傷つくこともなかったと思います。

 私は、このブログでアメフトの記事をときどき書いているくらいアメフトファンなのですが、どの点をとっても残念で仕方がありません。これ以上、傷つく人が出ないような対応を願うばかりです。

2018.05.25