事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事件

事故発生時には加害者意識をしっかり持つことが重要です

事故発生時には加害者意識をしっかり持つことが重要です

指挟まれけが 女児父が告訴 市川の認可外保育園で

 千葉県市川市内の認可外保育園で1歳の女児が収納スペースの引き戸に指を挟み全治3週間のけがを負ったとして、女児の父親(35)が10日、業務上過失傷害容疑で同園園長に対する告訴状を市川署に提出した。父親と弁護士が同日、千葉県庁で記者会見し明らかにした。

 弁護士によると、事故が起きたのは同市内の「ぽんておうちえん」。6月2日午前10時半ごろ、収納スペースの中にいた男児が急に開けた木製引き戸の間に女児の右薬指が挟まれ不全切断の重傷を負った。

 父親は「保育園は安全と思っていたので、まさかという思い。看護時の休業補償に早く対応してほしい」と訴えた。9日には県に対し同園に改善勧告を行うよう申し入れも行った。

 同園の石井しのぶ園長は取材に「告訴されるほど信頼が失われたことは反省している。誠実に話し合っていきたい」と話した。(2017年8月11日 千葉日報)

 私どもの仕事は、保育施設で事故が起きた場合の対応方法をアドバイスすることです。社会的に加害者といわれる方々が私どものお客様です。

 われわれが事故現場に入って、まず行うことは、園長先生を始め、職員やその他の関係者の方々に「加害者意識」をしっかり持っていただくことです。

 人間は弱い存在です。目の前に困難が立ちはだかると目をそむけ、逃げ出すのが普通です。その逃げ込む先になるのが「被害者意識」です。

 「なぜ、私が保育室にいるときに限って・・・」「この子には障害があったから・・・」「いつも言っていることを職員がやらないから・・・」というように様々な理由をつけて、目の前の現実から逃げ出そうとします。

 今回の事例も例にもれず、園長は目の前の事実から目をそむけ、事故の「加害者」という立場から逃げ出したのでしょう。それが、被害園児の保護者には、「当事者意識に欠ける」「不誠実だ」という印象を構成し、告訴につながったのでしょう。

 事故は起きてしまったら、被害者にも加害者にも取り返しがつきません。どちらも現実を直視して対応しなければならないのです。被害者には、すぐに現実を受け止め、すぐに前に進み始めることを強要することはできないでしょうし、やる必要もありません。

 しかし、加害者は事故から逃げ出すことは許されないのです。事故発生直後から、当事者(加害者)意識をしっかり持って、現実と向き合い、被害者や関係者たちに対応しなければならないのです。

 子どもを預かる施設の責任者や職員にとって、事故発生時が終わりではなく、始まりです。事故対応の姿勢によって施設は評価されるのです。そのためにも、逃げ出したくなることから目をそむけずに、誠意を持って対応していくことが重要なのです。

 私どもアイギスは、そのような仕事をしている会社です。

2017.09.01