事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事件

認定こども園にナイフを持った男が侵入

認定こども園にナイフを持った男が侵入

 大分県宇佐市の認定こども園「四日市こども園」に刃物を持った男が侵入した事件について、川谷興仁園長らによると、当時、園の職員らが翌日の入園式の準備をし、放課後児童クラブの小学生27人は1階や2階にいたという。職員の一人が園内に入ってきた射場容疑者に気付き、「不審者、不審者」と園内放送をかけ、その後も「不審者」と叫びながら追いかけた。射場容疑者が2階に上がると、別の職員が射場容疑者の注意を引きつける間に、子どもたちを非常口から避難させた。その際、男児(9)が射場容疑者から竹刀でほおをたたかれたという。けがをした女性職員(70)は射場容疑者に「落ち着きよ。何か困っているの、話聞くよ」と話しかけたところ、切りつけられたという。(2017年4月1日朝日新聞)

 今まで、保育施設の外で男が暴れているなど、交通事故に遭うなどという事故や事件はありましたが、園内に入ってナイフで襲撃されるという事件はありませんでした。3月31日は保育業界に衝撃が走った日だと思います。相模原の障害者施設の事件直後は、不審者対応についての相談が弊社にたくさん寄せられました。誰に言われるわけでもなく、世間の事件には敏感になり、園で再度危機管理や危機対応について見直そうというみなさんの意識はあると思います。

 今回は、死亡者が一人もでませんでした。職員の方々のチームワークの賜物と園内にいた子どもが走ることのできる小学生だったからではないでしょうか。不審者対応についてアイギスがいつもみなさまにお伝えしていることは、「園内に不審者が入ってきたときは終わり、その後助かるかは運次第、不審者対応は園内に入れないようにすること」です。

 もし男が襲撃した園に通常園で日中過ごしている子どもたち(0歳~6歳)がその場にいたら、全員を避難されるのは困難を極めたことと思います。だからこそ、平和ボケせずに園に部外者が入ろうとしたときに意識を向けられるようにしておきましょうという意味で、そのようにお伝えしています。不審者が園内に入ってきた場合を考えて訓練をしてくおくことも大切ですが、有事のときは平時のときと比べても本来の力を発揮できるのは20%以下だと言われています。

 不審者は入ってきたときは、全員守れるか守れないかは運次第ですと保護者に言うわけにはいきません。だからこそ、不審者が入らないよう外に目を向けて危機を察知できるように日頃から意識しておきましょう。

 本日から本格的に新年度がスタートします。危機管理や危機対応に絶対はありません。正解もありません。だから意識し、自分たちでできることの準備をしていきましょう。

2017.04.03