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認可取り消し第1号が出そうです。

認可取り消し第1号が出そうです。

姫路市 こども園認定取り消しへ 定員超過、保育士水増し

 兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」(小幡育子園長)が定員を超える園児を受け入れていたなどとして、県と市が3月中にも認定を取り消す方向で検討していることが19日、分かった。

 市によると、認定こども園を推進する「子ども・子育て支援新制度」が2015年に導入されて以降、認定取り消しは初めてとみられる。

 市によると、同保育園は2月時点で、正規の定員46人に加え、市に報告せず保護者と直接契約した22人を受け入れ、利用料を徴収していた。また、園児の人数分を下回る量の給食を発注して少量ずつ分け与え、余った分は保存し後日園児に与えるなどしていた。

 さらに退職者2人を含む3人が勤務しているように装い、保育士の数を水増しして市に報告し、給付金を満額得ていた。同保育園の給付金は2015~2016年度で計約9500万円に上る。

 認定が取り消されると、公的給付を5年間受けられなくなる。定員を超過していた園児22人は3月4日付で退園した。

 小幡園長は取材に対し、定員を超える受け入れについて「困っている保護者を助けたかった」と説明し、不正の意図を否定した。一方、保育士の水増しは「(行政の)指導が入ると思ったので、土曜日の勤務人数を数合わせした」と述べた。(時事通信 2017年3月19日)

 新制度が始まって認定取り消し第1号が、かなりの確率で出る事案が発生いたしました。私は常々、「保育の質は行政の質」と言ってきました。今回のケースは、通常監査で異常を感じ取った姫路市が抜き打ち監査を再度行い、異常であるということを確定させました。

 もし、施設側がもっと狡猾に事実を隠していたら、まだ、この状況は続いていたことでしょう。この施設がやっていた定員増加は、保育士と園児の配置バランスを無視した状況を作り上げたということです。

 報道にもあるように70人の園児が40人分の給食を分けながら毎日過ごしていたのは、悲しくなる事実です。しかし、それ以上に重大事故の発生率を故意に引き上げています。もしかしたら、死亡事故が起きてから今回の状況に気づいたということにもなりかねなかったのです。

 今後、行政の監査は安全面にも重点を置いたものに変化していくと考えられます。それにともない、今回のようなケースが多数発見されるということも予測されます。

 私は、そのようにして発見される前に、施設運営者が自らの倫理に基づいて運営を見直して欲しいと思います。

2017.03.24