事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
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事件

今年の漢字は「金」でした。

今年の漢字は「金」でした。

 今年の漢字は「金」でした。今年はリオオリンピックで日本選手団の活躍があったので、「金」が選ばれたのだと思います。保育の業界においても、今年の漢字は「金」だと思います。しかし、保育業界については「キン」ではなく、「カネ」だと思います。いくつか事例を見てください。

芦屋の社会福祉法人元理事長ら、不正流用で告発へ

 全国で保育園などを運営する社会福祉法人「夢工房」(兵庫県芦屋市)の元理事長らが運営費を不正流用していたとされる問題で、芦屋市や神戸市の住民4人が近く、背任や業務上横領などの疑いで、元理事長ら4人に対する告発状を芦屋署に提出することが9日、分かった。

 告発は、法人の第三者委員会が10月に発表した調査報告書などを基に、元理事長とその妻で元理事長、経理業務担当主任、職務代理理事を対象とした。(2016年12月9日 神戸新聞)

元理事長逮捕へ 子育て支援事業で領収書偽装疑い 奈良県警

 奈良県田原本町が実施する地域子育て支援拠点事業をめぐり、業務を委託された社会福祉法人が偽装した領収書を町に提出した疑いが強まったとして、奈良県警が有印私文書偽装・同行使容疑で、保育園を運営する社会福祉法人「愛和会」元理事長の男(69)の逮捕状を取ったことが19日、捜査関係者への取材で分かった。容疑が固まり次第逮捕する方針。(2016年11月20日 産経新聞)

保育所の前副園長が不正流用 先物で3億7千万円の損害

 大阪市城東区でくれない保育所(定員230人)を運営する社会福祉法人「くれない学園」は20日、前副理事長の男性(54)が同学園の資金を不正に流用して商品先物取引に投資し、計3億7千万円の損害が出たと発表した。学園によると、前理事長は流用を認めたうえで「保育所の資金を増やしたかった」と話しているという。同法人は近く刑事告訴する方針。(2016年12月20日 朝日新聞)

 これらの事例はすべてお金にからむ事件です。運営費の不正流用は、「故意」によってではないと行われないので、悪質です。上記の事例はすべて、法人内の一部の人間の故意によって完成された犯罪です。

 今年、「保育園落ちた日本死ね」が流行語に選ばれましたが、2016年は保育業界に社会の関心が集まった年だと思います。その中でも保育士の処遇をどのように改善するのか、ということが社会の課題としても取り上げられました。

 このような状況下で、上記の事例のようなニュースが出ると、保育施設の運営に関わっていない一般的な方々は、「保育施設を運営している社会福祉法人って、金持ってんな~。それ使って、自分たちの園で雇っている職員の給料を上げればいいじゃん。」と思うでしょう。

 そういう点でも運営費の不正流用は、法人にとっても、業界全体にとっても悪影響しか与えないものだと思います。来年には、社会福祉法人改革も始まります。法人も個人も倫理観をきちんと養うことから始めるのが、肝心だと思います。

2016.12.30