事故・トラブル最前線

事故・トラブル最前線これからの時代の園経営や
危機管理の在り方を専門家が語る

事故が起きた時ほど

事故が起きた時ほど

 平成30年6月9日、東京発新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ」の最終便で、男が乗客に鉈を振るって、男性1人が死亡、女性2人が重症を負うという事件が起こりました。従来、新幹線というものは、安全を前提に乗車しているものです。そのため、新幹線に乗車する者は、食事をしたり、疲れて寝て過ごすことが一般的だと思います。しかし、上記の事件により、従来の安全が脅かされる事態となりました。このような、従前の安全が脅かされた時、その後、同様の事態が起こらない様に未然に防ぐ対応が必要となります。この対応は危機管理上、とても大切なことです。

 事件後のJRの対応は、最悪な事態を防ぐために対応をとりました。私の友人の話ですが、上記事件があった2日後、特急列車に乗車しました。平日の上りの最終便とあって、車両には友人1人しか乗客がいませんでした。発車してすぐに眠りについた友人は、程なくして車掌さんに「お休みのところ失礼いたします。先日の事件があったばかりですし、この車両には女性のお客様、お1人しかお乗りではないので、何かあったときに対応が遅れてしまいますので、起きて頂いた方がよろしいかと思います。」と言われ起こされたそうです。

 JRの対応は、同様の事態を起こさないための対応であると共に、信用を取り戻すための行動でもあります。起きてしまった事態を1人の不審者に責任を押しつけるのではなく、JRの危機管理のミスととらえ、できることを実行したわけです。この行動を見た友人はさすがJRの対応だと感心していました。

 保育施設において事故を完全に防ぐことはできません。事故が起きてしまった際に、園としてできることに取り組むという事は、信頼を勝ち取る機会になります。そのため、事故が起きる前から、事故が起きた際に信頼を取り戻すためにはどのようなことをすればいいのか、ということを話し合っていただければと思います。

2018.06.27